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【2月13日】本物の感謝

公開日
2025/02/13
更新日
2025/02/14

校長のひとりごと

 元CAで日本ホスピタリティ・マナー研究所代表である松澤萬紀さんの著書『1秒で“気がきく人”がうまくいく』の中に、「相手が本当に嬉しいのは、“過程”に感謝してくれること」というところがあります。

 松澤さんは、感謝には「結果の感謝」と「過程の感謝」の2つの感謝があるといいます。例えば、珍しいお酒を知り合いにプレゼントをする。多くの人が、「これは珍しいお酒だね。ありがとう」とお礼を言ってくれる。これは「結果の感謝」。中には「松澤さん、このお酒のビンを持って帰ってくるの、たいへんだったでしょう」と言う人がいる。実際に、重たく割れやすいビンを持ち歩くことはたいへん気をつかう。そんな「過程」のたいへんさを想像し、共感し、ねぎらいの言葉をかけてくれることが、松澤さんは非常に嬉しいと言います。そのように「過程」の苦労を想像できる人が素晴らしいと松澤さんは教えてくれています。また、松澤さんは、「過程の感謝」+「結果の感謝」=「本物の感謝」だと次のように説明されています。


 社内研修が終わって、参加者にアンケートをとると、100人に1人くらいの割合(1%)で、「研修内容」に関する「結果の感謝」だけでなく、研修の準備に対する「過程の感謝」を述べてくださる方がいます。

「こんな素敵な研修をありがとうございました。準備がたいへんでしたね」

「人事部の方々は、研修を開催するまでの時間、とても労力をかけられたと思います。ありがとうございました」

 研修は、講師だけで成立するわけではありません。主催者との共同作業です。準備にに感謝できる人は、そのことを想像できている人です。だから、講師の私にだけでなく、研修の機会をつくった人事部や総務部にも感謝を述べることができたのです。主催者は、「報われた」と感じたことでしょう。

 一方で、「忙しい時期に、こんな研修を開かないでください。人事部のみなさんも、もう少し時期を考えてください」と書かれた方もいらっしゃいました。この方には、残念ながら「研修を開くのが、どれだけたいへんなことなのか」を想像する力がないように感じました。視点を「過程」にも向けることができれば、研修の内容や時期(結果)がどうであれ、「研修開催までご尽力いただき、ありがとうございます」と、問題点を指摘する前に、感謝をすることができると思います。

 感謝の気持ちを伝える前に、「その結果に至るまでの過程」を想像するクセがある人は素敵です。「結果」と「過程」の両方に感謝の言葉を添えられる人は、わずかに「1%」。私は、「結果の感謝」と「過程の感謝」の2つが揃ってこそ、「本物の感謝」を伝えることができると思っています。


 「過程の感謝」に限らず、「過程を大事にする」とか「見えないものにこそ、大切なことがある」とか、いろいろな場面で言われます。しかし、実際のところ、目に見える結果のみに行きがちなこともあるのではないかと思います。どうしても結果だけを見て「これはダメ」「あれはダメ」と批判してしまう自分がいたりします。

 結果も大事なことは当然ありますが、目の前に見える結果だけでなく、それまでの準備や努力を想像したり察したりできるようになれば、また次の言動が違ってくるのだと思います。そのためにも日頃からそのような視点をもって過ごしたり、いろいろな場面で想像力を働かせたりしているかが大きいのではないかと思います。

 例えば、贈り物をいただいたときも(いただくだけで嬉しいですが…)、それがどんなものであれ、「私のためにどれだけ時間を使ってくれたのだろう」「どれだけ迷われ、悩まれただろう」…そんな想像ができれば、その気持ちだけで「ありがたい」と心から思えます。私も「本物の感謝」ができるような人になりたい…そう思います。