【2月14日】人間の探究心
- 公開日
- 2025/02/14
- 更新日
- 2025/02/14
校長のひとりごと
定期考査2日目です。子どもたちは、それぞれの目標に向かってしっかり取り組んでいることだろうと思います。勉強はやり続ければ、すぐには伸びなくとも必ず伸びます。なかなか成果が出ないなぁと壁にぶつかるかと思いますが、それで諦めないことがポイントです。すると、あるときグッと向上するときがあります。これからも目標をもち、継続して学習に取り組んでほしいと思います。
さて、今朝の読売新聞のコラム『編集手帳』からです。
詩人の谷川俊太郎さんは「二十億光年の孤独」を書いたとき、18歳の少年だった。〈人類は小さな球の上で/眠り起きそして働き/ときどき火星に仲間を欲しがったりする〉とはじまる。なぜ20億光年なのか。この詩が生まれた戦後まもない時代は、宇宙の大きさは20億光年と考えられていたからだ。現在では138億光年以上とされている。谷川さんは生前、科学が次々に知識を塗り替えていくことを「面白い」と話していたという。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星が新たな知識を導いた。とてつもなく強い風が地球に向かって吹いている現象を観測した。風とは1億光年離れた銀河団から発せられる高温ガスで、速度は最大で秒速310キロに達する。分析を行った東京都立大などのチームによると、宇宙の成長に関係している可能性がある。
こんな風を受けて我々の星は大丈夫かしら。地球を〈小さな球〉と見る谷川少年の詩は予言的である。〈宇宙はどんどん膨らんでゆく/それ故みんなは不安である/二十億光年の孤独に/僕は思わずくしゃみをした〉。科学が見つけるものはときに怖く、面白い。
2月13日の読売新聞オンラインによると…
JXXAの天文衛星「XRISM(クリズム)」が1億光年離れた「ケンタウルス座銀河団」を観測し、高温ガスが地球に向かって風のように吹いていることを確認し、東京都立大などのチームが発表。そしてこの論文が13日、科学誌ネイチャーに掲載されたもよう。
銀河団内部には数千万度もの高温ガスが広がり、電磁波の一種「X線」を放出しており、通常はX線と共にエネルギーが放出されて温度も下がるはず。しかし、同銀河団中心には、巨大ブラックホールがあるとされ、チームは、高温ガスの風がブラックホールのエネルギーをかき混ぜて熱を伝え、高温を維持しているのではとみているそうです。チームの藤田裕・都立大教授は「銀河団の衝突で高温ガスが揺さぶられ、風になった可能性がある」と話されていました。
なかなか記事を読んでもピンとこない勉強不足の私ですが、光の速度(秒速30万km)で進んでいっても1億年の時間がかかる遙か彼方の話です。それを観測し、研究し、理論づけていく人間の探究心の凄さや素晴らしさ。「なぜ?」「どうして?」「どうなっているのか?」、そんな疑問からスタートして、学びが深まっていく。その人間の学びが幾重にも繋がり、現在の文明や文化を生んできたのだと改めて思います。それと同時に、宇宙の壮大さ、怖さ、神秘さ、不思議さ…を感じずにはいられません。中学校においては、子どもたちが自ら課題や疑問をもち、その解決に向けて主体的に学んでいけるような力を少しでもつけたいと思います。
それにしても、高温ガスの風速が秒速310kmなんて、まったく想像がつきません。強力な台風の最大瞬間風速70mとか(日本記録は秒速85.2m)ですから、その約4400倍。音速(秒速340m)と比較しても、その約900倍の速さの風となります。そんな風が、しかも高温ガスが地球上に吹きつけたら……考えるだけで恐ろしいですね。