【4月16日】尊敬と感謝
- 公開日
- 2025/04/16
- 更新日
- 2025/04/16
校長のひとりごと
写真上は、本校の職員トイレに貼っている詩?です。誰の詩かというと……恥ずかしながら私です。実は、前任校で一緒に働かせていただいた校務員(用務員)の「境 廣幸さん」という方のことを思い、教頭時代に作った詩です。当時、それをトイレの見えるところに貼らせていただいたのです。境さんは先月で、仕事を引退されました。昨日お電話があり、私のところ挨拶に来たいと、本日来校されました。
何と、写真下の私の好きなアンスリウムと境さん直筆の「御礼 境」と書かれた立派なお菓子をもってきてくださいました。
当時前任校に、教頭であった私と一緒に赴任され、その後校長となった4年間、計5年間共に働かせていただきました。初めて境さんと出会った日から、何度もその姿勢や仕事ぶりに感動させられると共に、私は尊敬と感謝の気持ちでいつもいっぱいでした。
境さんは、正式な勤務時間のはるか前の5時半頃には出勤され、鍵を開け、玄関、職員室、事務室、廊下などを中心に朝の掃除をされます。私が出勤すると、作業をされていても、一休みされていたとしても、姿勢を正して挨拶をされました。一日中、校内、校外を見回り、様々な場所の掃除や草木の剪定、修理などをきめ細やかにされました。蛍光灯のカバーがくすんでいれば、脚立をもってきては外し、綺麗にしてくださいました。当時、倉庫には使いもしないものがあふれ、校舎裏の不燃物置き場には大量のゴミが放置されていました。共に赴任したばかりでわからないこともたくさんありましたが、境さんは「教頭先生、ここの物はもう処分してもよろしいでしょうか?」、「この倉庫を整理していいでしょうか?」「玄関前も少しすっきりと整理しましょうか?」…と、不燃物置き場や倉庫、玄関などのゴミや不必要なものも数日かけて処分したり整理したりしてくださいました。日に日に学校は整理され、綺麗になっていきました。
2年目に私が校長になると、校長室の中も私に一つ一つ確認しながら整理してくださいました。校長室の花や植物にも気を配っていただき、休日や年末年始にも時々来てくださって、水やりまでしてくださいました。私が「そんなに無理なさらないでくださいね。十分すぎるくらい学校のためにしてくださっているので…」と言うと、『いやいや、あまり眠れませんし、身体を動かしておかないとですね。少しでも皆さんや学校のお役に立ちたいですから』と笑顔で答えてくださいました。
職員やPTAの役員の方などがお願いごとをすれば、笑顔で「わかりました!」と、自分のことはさておき、速やかに対応してくださいました。男子職員トイレも、「輪番制」ですべきところを、「私がしますので…」と、黙々と掃除してくださいました。そんなときふと、綺麗なトイレを毎日使えるのは、境さんのお陰であることを改めて感じたのです。掃除をしてもらうことが当たり前であるかのように意識もせず使い、当たり前のように汚している自分を反省したのでした。そして、先生方にもそのことを知ってほしい、考えてほしいと思いながら、詩をつくりトイレに掲示したのです。
境さんにたいへんお世話になった私。大野東中に異動が決まったとき、境さんへの感謝の手紙を書かせていただき、ささやかな贈り物をしました。それだけでは到底、境さんへの感謝は伝えきれなかったのですが…。そんな境さんは、大野東中に赴任した2年前の4月、素敵な蘭の花をもって訪ねてきてくださいました(そのときのことは、令和5年4月17日のひとりごとにも載せています)。常に「礼を尽くす」境さんは、私を訪ねてこられるときは、ネクタイまでしてこられて、そして、今日のようなの心遣いまでいただき、私が恐縮してしまいます。境さんが仕事をするときにずっとモットーとしていたこと…
◆マイナス思考にならず、常に前向きに取り組むこと
◆まずは行動すること
◆はじめから「できない」「無理だ」とは思わず、まずはとことんやってみること。そして、どうしてもできないときは相談すること
◆何より、学校のために力になりたいと思って仕事にあたること
◆頼まれたら、自分のことよりもそちらを優先する
私は境さんからたくさんのことを教えていただきました。人として、そして仕事人として大切にしなければならないことを学ばせていただきました。到底、境さんのようにはできていないのですが、今日お会いできて、また改めて私は素敵な出会いをさせていただいたと実感しました。「御礼 境」と書かれた字を見ても、その真面目で真っ直ぐで礼儀正しいことが伝わってきませんか?境さんは、入学式の「式次第」や、子どもたちの賞状の学校名や氏名まで、心を込めて書いてくださったりしました。どこまでも人のために尽くしてくださる方です。そして、境さんがしてこられた仕事すべてに「プロ意識」をもって取り組まれていたのです。境さんは、私の尊敬する素晴らしい方です。そして、私が感謝をしてもしきれないくらいお世話になった方です。永きに渡ってのお仕事、本当にお疲れ様でした。現在は、家のこと、お子様のこと、お孫さんのことの世話などでお忙しくされているようですが、少しでもゆっくりされて、これからも元気でいてほしいと心から願います。境さん、また遊びに来てくださいね!境さん…「感謝、感謝、感謝…」
[ひとりごと 第998号]