【4月17日】請求書?領収書?
- 公開日
- 2025/04/17
- 更新日
- 2025/04/17
校長のひとりごと
人間学を学ぶ月刊誌『致知』の継続特典として「感動エッセイ」というものが自宅に届きました。その中に、イエローハット創業者である鍵山秀三郎さんの「請求書の人生と領収書の人生」というコラムが載っていました。
“もっと、もっと、もっと”
際限なく求めて欲しがって生きるのは、「請求書の人生」であると、知人の有吉説志様から教えていただきました。
有吉様は、幼い頃、お祖母さんから、寺社にお参りした時は「ありがとうございます」と請求書ではなしに領収書のお参りをしなさい、と教えられたそうです。
向上心や探求心は人の成長に欠かせない大切な条件ではありますが、度の過ぎた欲求は人を卑(いや)しくし、ひいては国家の尊厳を傷つけることにも繋がります。有吉様のお話を通じて、求めるばかりではなく、いま与えられているものごとに感謝の気持ちを持つ「領収書の人生」を歩めと教えていただきました。
日本には領収書の生き方をしている方が大勢おられますが、そういう方は世間から注目されることはありません。請求書の生き方をする人が派手で目立つのに比べて、領収書の生き方をする人は地味で人目につかないところが共通しているからです。
誰からも注目されず、光の当たらないところで、いつ報われるか分からないことにも心を込めて取り組んでおられるそのお姿からは、卑しさは微塵も感じられません。他人に頼ったり、求めたりすることなく、人の役に立つことだけを念頭において、一途に歩み続けるお姿は、人を惹きつける豊かな魅力を備えています。
このような方々は、お互いに住む世界は異なっていても、一度会っただけで朴訥(ぼくとつ)なお人柄に惹かれ、年来の知己(ちき:親友)のようになります。語り合ううちに、この方の成功を祈り、ささやかであってもお手伝いをしたいという思いが湧いてきます。そして、この領収書の生き方をされている方々同士のご縁を結ぶことの大切さを実感いたします。
請求書の人生…確かに、寺社に行って「○○が叶いますように…」とお願いばかりしていた自分がいます。「いつも、ありがとうございます」と、言っていたでしょうか? そして、「○○だったらいいのに…」「○○があればいいのに…」と、努力もせずに勝手なことを求めようとする自分がいます。
今、置かれている状況にただ漫然としていることはいけませんが、生きていること、生かされていること、この仕事ができることに「感謝」の気持ちをもつこと。そして、自分自身を振り返り、向上心をもって過ごすことが大切なのだろうと思います。
昨日のひとりごとで紹介した境さんがまさにそうです。私の身の回りには、そんな方がたくさんおられます。常に様々なことへの感謝の気持ちを忘れず、「人の役に立ちたい」と自分の役割に真摯に向かい、誠意をもって仕事をされる方々。
「請求書の人生」「領収書の人生」…結局のところ、「感謝」の気持ちが常日頃から持てているかどうかではないかと思います。
[ひとりごと 第999号]