【6月9日】ナッジ
- 公開日
- 2025/06/09
- 更新日
- 2025/06/09
校長のひとりごと
今朝の読売新聞のコラム『編集手帳』からです。
オランダにある空港の男性トイレは一風変わっている。小用便器の中に指先ほどのハエが描かれているという。足を一歩進めて、虫めがけて用を足す結果、便器の周りは汚れることが少ない。経済学では、ルールを強制せずに心に働きかけ、行動を導く手法を「ナッジ」という。「そっと後押しする」の意味の英語で、間隔を空けて並ぶようコンビニの床に描かれた足跡は典型だろう。
大阪万博最寄りの夢洲駅に、片側空けを防ぐエスカレーターが登場した。足元を緑色のライトで左右2人分照らし、2列での利用を促している。片側を空ける文化は大阪・梅田駅で始まり、人がせわしなく仕事に追われていた高度成長期の1970年、大阪万博開催を経て全国に広がった。だが近年は空いた側を駆け上がる人の転倒が絶えない。鉄道各社は立ち止まって乗るよう呼びかけているが、習慣とは根深いものなのだろう。都会の駅は片側を忙しく歩く光景が消えない。今回の万博を機に私たちは変われるか。
〈街またぐ虹の半円雨上がる〉森貞夫。
梅雨入りが近づく。七色のそれは、散歩へと足を向かわせるナッジだろう。
エスカレーターで歩いたり走ったりすると事故もあり、鉄道会社やショッピングセンター等でも「歩かないで…」「中央に立ち止まって乗って…」「二列で乗って…」等を含め、注意喚起がなされています。福岡ではそこまで感じないのですが、先日東京に行った際には、エスカレーターでは「片側は立って乗る、もう片方は急いでいる人が歩く」という“暗黙のルール”のようなものが当たり前のように人々の中にあるような気がします。それが急いでいる人へのマナーなのか…それは難しいところです。ただ、それによって、自分自身はもちろん、人まで巻き込んでの事故等にまでなってしまうとすれば、しっかりと考えなければならないことだと思います。
一方、コラムに出てくる「ナッジ」を知らなかった私…。ただ、その意味である「そっと後押しする」という言葉に、私たち教師の仕事に通じるものがあると思いました。子どもたちの心に響くような授業をしたり、その活動や行事の意義や価値について伝えたり、子どもたちに共感したりしながら、子どもたちが前に進んでいくことを「後押し」することはとても大切なことだと思うのです。子どもたちが「主体的」に学んだり行動したりすることを促していくためにも、私たち大人が学び続けることが必要だと改めて思います
(ひとりごと 第1033号)