【6月13日】親の思い
- 公開日
- 2025/06/13
- 更新日
- 2025/06/14
校長のひとりごと
『読むだけで人間力が高まる100話(「ニューモラル」仕事と生き方研究会編)』の「つながりを感じる心」からです。
親元を離れて自活したり、結婚して子どもを授かったりしたことを機に、家族のありがたみや親の苦労を強く感じる場合もあるでしょう。それは、自分が今までとは異なる立場に身を置いて、実際の体験をする中で、初めて気づくことがあるからではないでしょうか。そんな気づきを得ることも「成長した」「大人になった」ということなのでしょう。
親に対する思いは人によってさまざまかもしれませんが、紛れもない事実があります。それは両親が存在しなければ、私たちはこの世に生まれていないということです。父母の先には祖父母が、さらに大勢の祖先が存在します。それらの人たちがお互いに助け合い、支え合いながらいのちをつないできてくれたからこそ、今の自分があるのです。そうしたことを考えるとき、私たちは一人きりで生きているのではなく、過去から未来へと続いていく「いのちのつながり」に支えられていることに気づきます。また、今の暮らしが世の中の多くの人たちとの「つながり」に支えられているということも、忘れてはならない事実です。
こうしたことにしっかりと目を向け、感謝の心を育んでいくこと。そして自分自身も誰かを支える側に立ち、先人たちから受け継いだものをよりよい形で次の世代へバトンタッチしていくという志を持つことも、この社会に生きる大人としての大切な「務め」につながっていくのではないでしょうか。
また、「体の成長」とは違って、「心の成長」には限りがありません。「自分自身の心を育てる」ということ、つまり人間力を高めることは、私たちの生涯を通じた課題でもあるのです。
親のありがたさ、命がかけがえがないこと、そして私たちが生まれて生きていること自体がとてつもない奇跡であることを子どもたちには少しでも感じてほしいと思います。
そういう私も以前は全くわかっていませんでした。親がいるのは当たり前で、どれだけ親が心配したり心を痛めたり愛情深く育ててくれたりしているかなんてことを考えもしていませんでした。反抗期もあり、ろくに口もきかない時期もありました。しかし、年齢を重ねていきながら、少しずつ親の有り難さがわかるようになってきました。それと同時に、「命」はずーっと繋がっているし、多くの人のおかげで、「生かされている」ことを考えるようになりました。それでも私はなかなか親孝行もできずに、「そのうちに恩返しを…」と思っていたのですが、仕事ばかりに夢中になり、両親ともに亡くなってしまいました。そのたびに後悔でいっぱいでした…。
子どもたちには、少しでも早くそのことに気づいてほしい…そう思います。そして、親の愛情を感じ、親の有り難さがわかると、もう少し頑張らなければと思って努力したり、少しでも恩返しができたりするようになるのではないかと思います。それは決して簡単なことではありませんが、私は少しでも多くの子どもたちにそんな思いを伝えることが大事だと思っています。それと同時に、私たち人間は、「一生勉強」だし、「自分とはなんぞや?」と自分探しをしつつ、人間力を磨き成長していくことが「生きる」ということなのではないかと…子どもたちと共に考えていきたいと思います。
(ひとりごと 第1037号)