【7月1日】アナログ
- 公開日
- 2025/07/01
- 更新日
- 2025/07/01
校長のひとりごと
今日も松浦弥太郎さんの著書『自分で考えて生きよう』からです。
アナログとデジタルは、暮らしのあらゆるシーンで共存している。ぼくの場合、アナログとデジタルといえば、いわゆるフィルムとデジタルカメラの使い分けである。仲間はどんどんフィルムカメラを処分し、デジタルカメラの機材の充実を図っている。ぼくはプライベートではフィルムカメラを使い、仕事では完全にデジタルカメラを使っている。フィルムカメラじゃ、操作や撮影、現像、プリントといったプロセスに手間もお金もかかるし、失敗もある。それでも手放さないのは、いちいち感じる、最初から最後まで自分の手を使うという、確かな手応えがたまらないからだ。
先日の仕事でのこと。撮影を終え、メモリーカードに入ったデータを、パソコンに取り込もうと思ったら、、あるはずのデータを取り込むことができなかった。いろいろと試してみたが、まったく読み取ることができない。調べるとメモリーカードの破損とわかった。そのとき思ったのは、フィルムカメラは、写真の失敗はあっても、撮ったはずの写真が無くなることはない。デジタルカメラは、まだまだ予測がつかないトラブルがあるだろうと怖くなった。
いわば、デジタルというのは、とても繊細だということだ。もっと言うと、デジタルは、そっと扱う気遣いが必要で、アナログは、多少雑な扱いをしても、あるはずのものが無くなるということはまずあり得ない強みがある。
うーむ、まだまだぼくは、アナログを手放すことはできなさそうだ。人間そのものが生粋のアナログだからだ。
アナログとデジタルについては何度かひとりごとでも取り上げてきました。身の回りにはデジタルなもので溢れています。このひとりごとだって、パソコンがあるからここまで続けてこられたと思います。全部アナログであれば、手書きして印刷して配付するしかありません。より多くの人に瞬時に情報を送ることができるのはデジタルのおかげです。世の中がこれだけ便利になったのもデジタルなものが日々進化して製品化されているおかげです。生成AIなるものの登場でさらに便利になりました。学習して進化するAI搭載の電化製品もたくさんあります。本当に便利な世の中になりました。
それでもアナログのよさがあります。アナログだからこその“趣(おもむき)”や素晴らしさがあると思います。メールとかラインとか本当に便利で私も日常的に使っていますが、たまにいただく、手書きのメッセージやお手紙は、デジタルにはない温かさやその方の「思い」を感じることができます。音楽であっても、アナログな「レコード」が昨年ぐらいから流行っています。CDやストリーミングでは得られない温かみや奥行きのある「アナログの音」が新鮮だと若い世代にも受けて、アナログレコードがかつてのピーク時に近い水準で売れているそうです。
ロボットやAIによって、無くなる仕事があると言われますが、その一方でやはり人間ではないといけない仕事があります。また、AIと協働することによって生まれる仕事もあります。ですから、どれだけデジタルが進化しようとも「アナログ」なものも大事にしていきたいですし、やはり私たち生身の人間だからこその素晴らしさがたくさんあると私も思います。松浦さんと同じく、私自身もかなりのアナログ人間なので…
(ひとりごと 第1049号)