【7月9日】願い
- 公開日
- 2025/07/09
- 更新日
- 2025/07/09
校長のひとりごと
今朝の読売新聞のコラム『編集手帳』からです。
俳句では「かき氷」のことを「氷水」、もしくは「夏氷」という。日本伝統俳句協会が一般から募集した作品に、こんな一句を見かけた。
〈野球部が路地へあふれて氷水〉(無弦奏)
これがサッカー部やバスケ部だと俳句にならない気がする。たぶん氷水と併せ、野球部もまた“季語”だからだろう。夏の高校野球の地方大会がはじまり、球児が熱戦を繰り広げている。強豪校を含む172チームが参加する神奈川県大会は、横浜スタジアムで開会式が行われた。ここでは慶応高の主将、山田望意さんのスピーチ風の選手宣誓が話題になった。
「選手の皆さんにお願いがあります。お互いのチームの好プレーに拍手や歓声を送り、たたえ合うことにしませんか。お互いを認め合い、試合のあと、このチームと戦うことができてよかった、そう思えるいい試合が続く、そんな最高の大会にしませんか」。
宣誓のあと、拍手が30秒も鳴り止まなかったという。
〈一匙(ひとさじ)の脳天衝(つ)けり夏氷〉(能村登四郎)。
世上、スピーチといえば…。また選挙のことは脇に置いて、さわやかな青春のお裾分けをもらったような刺激が脳天にある。
神奈川県大会の開会式は7月7日。山田さんの選手宣誓は…
「宣誓。七夕の日に願います。今年も神奈川大会が最高の大会になりますように。最高の大会は数多くのいい試合でつくりあげられます。いい試合には選手全員のいい顔があふれています。私の考えるいい顔とは、真剣勝負の顔、ナイスプレーに喜ぶ顔、そして大好きな野球を全力で楽しむ顔です。しかし、その顔は自分1人で作ることはできません。チームメート、支えてくれる家族、指導者、関係者の方々はもちろん、同じ野球を愛する相手がいてから、成り立つものです」
そして、コラムの中に出てくる言葉へと続き、最後にこう言います。
「私たち選手一同は、ありがとうの気持ちを忘れず、いい顔で、常にチャレンジし続けることを誓います。 令和7年7月7日、選手代表、慶応義塾高等学校、野球部主将 山田望意」
その様子を動画で見させてもらいました。戦う相手をリスペクトし、仲間や家族、支えてくれる人などすべてに感謝をする言葉…。一言一言を丁寧に優しく思いを込めて伝えている山田さんのその姿や言葉は、胸にじーんとくるものがあります。球場に来ていた方々の自然と出た拍手からも、皆さんの心に伝わる「選手宣誓」だったのだと思います。
選手宣誓の前に神奈川県知事の黒岩さんがこんなことをおっしゃっていました。
「コロナ禍、この素晴らしい大会を開催できなかった。その時の先輩たちは、日頃、あれだけ練習を重ねているにも関わらず、この素晴らしい大会がなかった。そのことをどうか思い起こしてもらいたい。そして今こうして、こんなに暑い中でも、こんなにたくさんの人が見守る中で、堂々とプレーができる。そのこと自体がどれだけ有り難いことか、よく胸にしまって頑張ってほしい…」。
黒岩知事の言葉にあった、大会がありプレーできることの「有り難さ」、選手宣誓をした山田さんの最後の言葉「ありがとうの気持ちを忘れず…」、共に「感謝」に通じるものです。それは野球に限ったことではありません。
当たり前に学校生活を送ることができる、友達と遊んだりたわいもない話ができる、部活動ができる、もっと言えば、ご飯を食べることができる、家でテレビを見たりゲームをしたりすることができる、家族団らんの時間を過ごすことができる、ゆっくりと眠ることができる…すべてが「有り難い」ことであり、かけがえのないことであると思います。そんな当たり前の日常に感謝し、出会いや縁を大切にして、日々精一杯に生きることが大切だと思います。
※今日の2時間目と3時間目も子育てサロンが行われていました(写真)。毎年この授業の支援をいただいているチャイルドケアセンターの方がこうおっしゃっていました。「大野東中の子どもさんたちはとにかく優しいですね。参加されている方々が皆さん、そう言われますし、私もそう思います。多感な中学3年生だとは思いますが、とても素晴らしいしかわいいです…」。そう言われた私は、子どもたちのことがとても誇らしく、またたいへん嬉しい気持ちになりました。大東の子どもたちは本当に素晴らしい!これもたくさんの方の、「おかげ」ですね!有り難い有り難い…(^_^)
(ひとりごと 第1055号)