【10月8日】私の母[ep5]
- 公開日
- 2020/10/08
- 更新日
- 2020/10/08
Kのつぶやき
(10月7日の「ひとりごと」の続きです)
合唱コンクールが終わったその日の夜、母がいない寂しさに包まれながら、父親と二人で何気なく話をしていました。その中で、父が突然こんなことを聞いてきたのです。
「お前は、あいつ(私の母のこと)の中学校のときの夢は何だったか聞いてるか?」
私の母は、中学しか出ていません。学校での成績はトップだったらしく、担任の先生は、父親(私の祖父)に進学を勧めたらしいのですが、商売をしていた私の祖父は、「進学とかせんでいい。家の手伝いをさせるから。」と進学をさせなかったとだけ聞いていました。夢が何だったかとかは聞いていなかったので、「知らんよ」と私が答えると、父はこう言いました。
「あいつ(私の母)の夢は、実は、学校の先生になることだったんだ。だけど、自分は中学までしか行けなくて、その夢は叶わなかった。だから、お前が中学校の先生になるって言って、そして実際になったとき、あいつは自分のことのように心から喜んだ。お前が私の夢を叶えてくれたって・・・」
私は、言葉が出ませんでした。朝から晩まで寝る間も惜しんで仕事をしてきた母。お客様に理不尽な文句を言われようともただひたすらに頭をさげ、笑顔でいつも対応し、そして人の役に立つことならと仕事とは関係ないような様々な役も引き受け、人のために尽くしてきた母。そんな母の夢が「教師になること」だっだとは・・・。
私は胸がジーンとして、自然と涙が溢れてきたのです。
「また元気になったら、紅葉を見に行きたいね!」と言っていた母を、連れていってあげられなかった。もっと旅行にも連れて行ってあげればよかった。仕事ばかりしないで、もっともっとたくさん親孝行しておけばよかった・・・母が亡くなったあと、そんな後悔ばかりの毎日。
母の夢を父から聞き、私が教師になって、きつくて辞めたいと思ったこともありましたが曲がりなりにも頑張っていたことは、少しは母への「親孝行」そして「恩返し」になったのかとも思いました。母のためにも、まだまだ私は頑張らなければと思う「10月」です・・・
親は、我が子が頑張ってくれると本当に嬉しいものです。
御陵中の子ども達にも夢や目標を見つけ、それに向けて精一杯努力してほしい。たとえ失敗しても何度も何度も立ち上がり前を向いて進んでほしい。誰だってうまくいかないことがいっぱいあるのだから。
かけがえのない命、かけがえのない自分自身を大切にしてほしい。そして、人を大切にしてほしい。
何よりあなたの後ろには、いつもあなたを全力で愛し、全力で応援してくれる人がいてくれるのだから・・・