学校日記

【3月22日】着眼三原則

公開日
2021/03/22
更新日
2021/03/22

Kのつぶやき

 修了式まであと2日となりました。先週の生徒総会でも立派な態度で臨んだ1、2年生です。これまでの伝統を引き継ぎつつ、新たな伝統を創り発展させていってくれるものと期待しています。
 さて今日は、3年生の進路説明会等で話したことのある、ジェームズ・ダイソンについてのお話です。

 ダイソン社と言えば、年間売り上げ5000億円を超える掃除機のメーカーとして有名です。その創業者であるジェームズ・ダイソンは若いとき、紙パック式の掃除機に不便さを感じていました。ダイソンは、「サイクロン方式」を取り入れることで、紙パック不要の強力な吸引力を持った掃除機が作れるはずだと考えました。しかし、「アイデアは始まりに過ぎなかった」と彼は言います。
 15台目の試作機のときに3人目の子どもが生まれ、2627台目で生活は逼迫(ひっぱく)し、3727台目の頃には奥さんが美術教室を開いて生活費を稼がないといけない状態でした。5127台目の試作が終わった時には、もう15年の歳月が経っていました。「吸引力の変わらないただ一つの掃除機」でおなじみのダイソンの掃除機は、こうして誕生したのです。
 あれだけ有名な掃除機の誕生の陰には、15年もの歳月、そして5127台もの試作品があったのです。その情熱と努力は凄まじいものだと思います。

 関連して、ダイソンを調べると“発明脳”をつくる「着眼三原則」というものがあります。
1  水平思考
 目の前の「当たり前」を水平にずらし、別の場所にもっていくことで画期的なアイデアを生むのである。要するに発想の転換である。
2 アイデアを絞る
 ダイソンの掃除機の長所は、デザインや耐久性など多々あるが、ひとえに「紙パックがいらず、吸引力が変わらない」サイクロン方式であるということである。「それはすごい!」とわかるアイデアこそが人を惹きつける。「あれもこれも」と盛り込んだアイデアは、結局、焦点が絞れず訴求力(そきゅうりょく:買い手の購買意欲に働きかける力)が下がる。
3 粘り強さ
 務めていた会社の上司等からもまったく認めてもらえないダイソンは多大な負債をかかえたまま退社し、自宅に3年間もひきこもって試作品をつくり続けた。ダイソンは、決して諦めることなくサイクロン掃除機を自作で完成させた。そのライセンスを引っさげて様々な企業と交渉するが、英国では門前払い、アメリカでは、契約を結んだ大企業から「不具合がある」と難癖をつけられ契約解消。その上、勝手にその会社にサイクロン式掃除機を作られてしまう。資金難に喘ぎながら、彼は自らデザインし、生産、販売するスタイルを選び、今のダイソン社にたどり着いた。彼の発明は、既存の市場や権威を壊すような脅威の発明であったため、全力でつぶしにかかられた。それでも、彼は真正面からぶつかり逃げ出さなかった。
ダイソンは、「僕は賢い人間ではなく、根気強い人間でいるつもりだ。だって根気強く頑張ってきたおかげで、とうとうサイクロン式掃除機を自分の手でものにしたんだからね」と話していたそうです。

 『粘り強く、真摯に、そして誠実に取り組むことがいかに大切か』ということをダイソンは教えてくれています。
 まもなく、令和2年度も終わろうとしています。令和3年度もまだまだコロナ禍は続きそうです。様々な困難とも向き合い、発想を豊かに、「何ができるか」「どうやったらできるか」をしっかりと考えながら、その時その時に最善を尽くして、目指す目標に向かって粘り強く頑張っていかなければと思う私です。