学校日記

【5月20日】残すべき遺産

公開日
2021/05/20
更新日
2021/05/20

Kのつぶやき

 現在、登校したくても学級閉鎖や出席停止で登校できない子ども達がいます。何度も書きましたが、新型コロナウイルスが収束し、一日も早く通常の学校生活に戻れるように願うばかりです。そして、現在登校できている子ども達も含めて私たちはみんなで「おかえりなさい」というあたたかい気持ちで迎えていきたいと思います。誰がいつ感染したり、濃厚接触者等になったりするかなんて誰にもわかりません。誰にでもなる可能性があるのです。
 昨年から新型コロナウイルスのことに起因する差別や誹謗・中傷が多数起こっています。本当に悲しいことです。きっと自分の不安を紛らわすためであったり、自分には関係ないという利己的な考えからくるものだと思います。憎むべきは人ではなくコロナウイルスなのです。

 法務省のHPには次のように書かれています。
『今、みんなが不安に包まれやすくなっています。そんな時だからこそ、自分の言葉や行動が差別や偏見につながっていないか、「誰か」のことではなく「自分のこと」として考えてみることが大切です。悪意がない言動が人権侵害につながることもあります。そして、感染対策にも影響を与える可能性があります。正しい知識と情報をもとに行動しましょう。それが、新型コロナウイルス感染症から、自分を、家族を、みんなを守ることにつながります。』
 新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂さんのメッセージも載っており、
『コロナ差別をしないことは、コロナ対策のひとつです。差別や偏見、嫌がらせが広がると医療従事者やエッセンシャルワーカーの離職が増える可能性があります。また、感染者への同様のことが増えると検査を避けたり、感染を隠そうとする人が増え、感染拡大を抑えにくくなります。』
とも。
 ぜひ、各ご家庭でも感染症対策を徹底していくとともに、「思いやり」や「人を大切にすること」「感謝をすること」などについて、引き続きお話ししていただけると幸いです。

 最後に、コロナウイルスの事とは直接関係はありませんが、牧師でカウンセラーである田中信生さん著「すてきな自分に出会える法則」にこんな話が載っています。
 田中さんがかつて、東京で牧師になる修行をされていた頃に出会った、小学5年生の吾郎くん一家のことです。吾郎くんを長男とする男兄弟5人と両親の7人家族は、大変貧しく両親は毎晩仕事で遅く帰ってきます。学校から帰ってきた吾郎くんは、小麦粉に適当に砂糖や塩を入れ水で練りフライパンでおやつのホットケーキを作っていたそうです。5人で分けようとするといつも取り合い、ケンカになり、一番下の弟は、
「いつもケンカばかりして、僕たちは本当の兄弟なんかじゃないよ・・・」
と泣きじゃくります。ある日、吾郎くんが、田中さんの説法を聞いて、その話を弟達にしたそうです。(ここからは原文です↓)
「神様って見たことある?」
「見たことないよ」
「見たいだろう?見る方法があるぞ。もしお前達が自分のことばっかり考えないで、ちいと(少し)損して、みんなにちいとおまけをやったら、神様が見えるぞ。そういうのを天国というんだ」
 そのあと吾郎くんは、いつものようにおやつのホットケーキを作り、均等に切り分けた中でも大きいものから、一番下の子にあげたというのです。吾郎くんは最後に残った一番小さいものを取りました。一日、二日、三日とそのようにしたそうです。でも四人は自分の皿をしっかり押さえて「みんな、気いつけろよ。吾郎兄ちゃん、何か新しい作戦考えてるぞ、早く食えよ」と言うのです。ところが、三日、五日、十日、二週間も経った頃、次男坊がこう言いました。
「兄ちゃん。兄ちゃんの、いつも少しちっちゃいぞ。ぼくの少しあげるよ」と端をちぎって、吾郎少年のホットケーキの上にのせたのです。「んー、吾郎兄ちゃんの、いつもちっちゃいぞ。ぼくも少しあげる」と三男が言います。「兄ちゃん。兄ちゃんの、いつもちっちゃい。ぼくのも少しあげる」と四男が言うと、一番下の子が、「ぼくも、ぼくもあげる」といったん口に入れかけたものを、吾郎少年のピラミッドのようになったホットケーキのてっぺんにのせたのです。その瞬間、五人のわんぱく坊主たちはシーンと静まりかえりました。みんな目に涙をいっぱいにためたかと思うと、ポタッ、ポタッ、と破れた畳の上に落としているというじゃありませんか。たまらなくなった一番下の子が、兄ちゃんたちの顔を見て言いました。
「ね、兄ちゃんたち、ぼくたち本当の兄弟だよね」・・・

 なんだか心があったかくなりませんか?田中さんは、最後にこう書かれています。
「真剣に生きている、この思いやりこそ、もっともっと家庭で、地域で、広がっていくために、次の時代に残すべき私たちの遺産ではないかと思うのです。」