【6月11日】叱るとは可能性を信じること
- 公開日
- 2021/06/11
- 更新日
- 2021/06/11
Kのつぶやき
昨日、「叱り方」について島村華子さんの本から載せましたので、関連して アーティスティックスイミング東京五輪日本代表ヘッドコーチの井村雅代さんの『人を叱る三つのコツ』というタイトルで書かれたものがありましたので載せます。
いま、スポーツ界で叱る教育の代表と言えば、すぐに私の名前が挙がります。でも、私の中では叱っているという意識はまったくありません。下手だから下手、ダメだからダメ。本当のことを言っているだけなんです。そして、本当のことを言ったら、私は必ず直す方法を言います。一つの方法だけでは直りませんから、今度はこうやってごらんと、どんどん直し方を言う。そして直ったと思ったら、「それでいいよ」とちゃんとOKを出すんです。でも取材に来られるマスコミの方は、私が怒っているところばかり撮るから、ああいう恐ろしい映像になるんです。
ここで皆さんに叱るコツをお教えするならば、叱る教育は現行犯で叱ってください。いまのそれがダメなんだって言われたら人は反省します。「君、この前も同じことを言ったよ」と古いことを持ち出してはいけません。これをやられると、いまやったことへの反省が薄れてしまうんです。
もう一つしてはいけないのは、しつこく叱ること。それは本人の自己満足で、聞いている人は「もう分かったよ」って嫌気がさしてくるんです。
現行犯で叱ること、古いことを持ち出さないこと、しつこく叱らないこと。この三つの叱るコツをぜひ覚えてください。
そして、叱るときは本気でかかってください。相手がどんなに小さなお子さんでも、自分に本気でぶつかってくれているかどうかは分かるんです。中途半端に叱るくらいなら、最初から知らん顔しているほうがましです。叱るとは、いま自分の目の前にいるこの人は、絶対にこのままで終わらないんだ。いまの状態よりも必ずよくなるんだと、その人の可能性を信じることなんです。だから本気でぶつかり、よくなるまであの手、この手で引き上げようとする。叱るとは、その子の可能性を信じることなんです。
井村さんと言えば、シンクロ競技が正式種目となった1984年ロサンゼルス五輪から日本代表コーチとして6大会連続でメダルを獲得し、2004年アテネ五輪を最後に退任。その後、中国代表を率いて2大会連続でメダル獲得。さらに、低迷する日本シンクロ界から再び請われて指導者となり、リオ五輪で見事に結果を残しました。何と、9大会連続でメダルを獲得しているカリスマ指導者なのです。そんな井村さんですが、メディアでは「怒号が飛ぶスパルタ熱血指導(鬼コーチ)」「竹を割ったようなハキハキとした関西弁の言動」がよく取り上げられていました。
実は、井村さんの指導は、「ゴールから逆算したシンプルかつ緻密な戦略」、「相手の心に届くコーチング指導」など、単なる根性論ではなく結果を出すための本質的な指導技術があるということが資料には書かれていました。
井村さんのおっしゃる「その場面で叱ること、古いことを持ち出さない、しつこく叱らない」ということに、私はとても共感しました。そして何より、「叱るときは本気で」「その子の可能性を信じること」という言葉は常に意識しておくことが大切なのではないかと思います。