学校日記

【6月14日】やる気を育むために・・・

公開日
2021/06/14
更新日
2021/06/14

Kのつぶやき

 先週のひとりごとには、「ほめ方」や「叱り方」について載せましたが、最近読んでいる本の中にもほめることについて書かれているものがありましたので・・・。その本は、全米で話題になっているというスタンフォード大学・オンラインハイスクールの日本人校長の星友啓先生が書かれた『スタンフォードが中高生に教えていること』という本です。ちなみにこのオンラインハイスクールは「Niche」というアメリカの学校ランキングで進学校で全米ナンバーワンにも輝いた注目の学校だそうです。その星先生の言葉からです。

 「よくできたね!しかも読むのが早い!」「こんな問題ができるなんて賢い!」子どもが正しく問題に答えたり、何かうまくできたりした時に、ほめたくなるのはごく自然の反応。どんどんほめるのが子どもをサポートする時の成功の秘訣で、ほめれば成功体験を実感させられる。ほめて育てると子どもに自信がつきやる気があがる。
 しかし実はほめることは「諸刃の剣(※一方では非常に役に立つが、他方では大きな害を与える危険もあること)」なのです。うまく使いこなせれば良い効果があるものの、そうでなければ、予期せぬ逆効果で子どもに悪影響を及ぼしてしまいます。例えば、「よくできた!」「こんな問題ができる」などとして、子どもの成果そのものをほめたり、「読むのが早い!」「賢い!」などと、子どもの現在の能力や知性をほめることは、非常に危険です。

 星先生は、この科学的裏付けとして世界的ベストセラー『マインドセット「やればできる!」の研究』の著者キャロル・ドゥエック教授の一連の研究について述べてあります。それは以下のような内容です。

 小学生を2つのグループに分け、パズルをさせる。パズル終了後、一方のグループ(知性グループ)にはできたパズルの数(X)を伝え、「Xもできてる。よくできたね!頭いいね!」などと成果と知性をほめる。もう一方のグループ(努力グループ)には「Xできてるね。すごくよく頑張って考えたね」と努力をほめる。そのあと感想を聞く。その中で「もう一度パズルをやるとしたら?」と尋ねると、知性グループは大半が同じものをやりたい、それに対し、努力グループの90%がもっと難しいものをやりたいと答えた。
 第2ラウンドとして、同じ子どもたちに1回目のパズルよりも難しいものをさせると、ほとんどの子どもが1回目のパズルよりも成績が悪くなる。それが終わったあとに1回目にも聞いた「楽しさ」「やる気」「自信」に関する質問をする。1回目のときには差はなかったこれらの質問に対して、知性グループは前回よりも問題を楽しめず、持って帰ってやる気も出ず、低い成績に自信もなくした。一方の努力グループは難しくてもパズルを楽しみ、家に持って帰ってやる気も上がり、前回よりもできていないにも関わらず自信の低下にはつながらなかった。

 要するに、先週のひとりごとで紹介した島村華子さんもおっしゃっていたように、安易に「成果」をほめるのではなく、「過程」をほめることが大切ということなのだと思います。成果や知性ばかりをほめてしまうと、できないことに直面したときやうまくいかないときに、自信ややる気を失いかねないということです。星先生はこのように言っています。
「ほめる時は成果や知性をほめるのではなく、子どもの努力や積極的に学ぶ姿勢をほめましょう。そのことで、子どもの持続的なやる気を育むことができるのです」

 人生にはうまくいかないこと、失敗することがたくさんあります。そのことをしっかりと受け止め、また立ち上がり、向上心をもって努力をし続けることが大切なのだと思います。そんな子どもたちに育てていくためにも、大切な「ほめる」ということを安易に考えることなく、子どもにしっかりと向き合い、具体的ながんばりやその努力の過程をほめることを意識しておくことが必要だと思います。