学校日記

【10月5日】私にできること

公開日
2021/10/05
更新日
2021/10/05

つぶやき

 昨日より、上の写真のように生徒会役員選挙へむけての校門付近での選挙活動が行われています。人数制限をしながらの活動ではありますが、各候補者を手作りの選挙グッズを使っての活動です。候補者はもちろんですが、応援する子どもたちも「おはようございます!」と明るく元気のいい挨拶で、登校してくる子どもたちを迎えています。なんとも清々しく素敵な光景だと思いながら見ていました。

 今日の西日本新聞に福岡雙葉小学校3年生、政野六花(りっか)さんの『本を読む』という詩が載っていました。これは、北原白秋の業績を顕彰し、柳川市などが募集している「白秋献詩」入賞作品の中で、最高賞の文部科学大臣賞を受賞した詩とのことです。以下、原文を載せます。

 私は自由に本が読める国に住んでいます 学校でも図書館でも家でも時間がゆるすかぎり本を読みます
 大きく息をすい 光が届かない深い海の底にしずみます 岩のすき間にねむる知識という名の小さな真珠を探す人魚のように
 あたたかくなった太陽の光を全身に浴び つばさを広げ大空に羽ばたきます 本能が海をわたれと叫ぶから 山並みや海岸線にそって飛ぶ言葉をえたツバメのように
 本を読む ただそれだけなのに 世界には本を読む自由をうばわれた国があります
 戦火が近づいていることを感じ 図書館が焼かれる前に本をはこび出した司書 また別の国では本を持っていることを禁じられ 生死のはざまで たった8冊の本を最後まで守りぬいた女性
 そして赤いチューリップが美しい国では 少女たちは集められ 学校の先生に「サヨナラ」を告げられました 少女たちは本を読む自由だけでなく 自由そのものがおびやかされています
 私は本を読みます それはとても幸せな時間です だけれど私が幸せなだけではいけないように感じています
 本を自由に読める日々が当たり前で無いことを 私は本から教えてもらいました
 私は本を読みます 自由に本が読める国に住んでいる者として 私にできることを見つけるために

 私は、この詩を読ませてもらって、これが小学校3年生の詩?と、驚かされました。こんなにも素敵で、しかも奥の深い詩です。私たち大人も大いに考えさせられます。政野さんは、「本を通じ、アフガニスタンは中村哲先生が人道支援に取り組んできた国であると知りました。自由に本が読める国に住んでいる者として、私にできることを見つけたいと思い、詩につながりました」と話していたそうです。
 本というのは、自分の視野や世界を広げてくれます。本によって、志をもつきっかけとなったり、人として大切なことを考えるきっかけとなったりすることもあるのだと思います。まさに、政野さんは本との出会いによって、「本が読めることは当たり前ではない」ことに気づき、「自分だけが幸せではいけない。自分にできることを見つけよう」ということを感じたのだと思います。
 私は政野さんを詩を読みながら、以前にも何度か紹介した2015年9月に国連サミット全会一致で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」のことを思い浮かべました。この目標達成のために世界中の人々が、様々な取組をしています。SDGsは、もちろん自分だけの幸せを願うものではありません。地球規模で考え実践していくものです。「誰一人取り残さない」、持続可能で多様性(ダイバーシティ)と包摂性(インクルージョン)の社会を実現していく2030年を年限とする17の国際目標です。これは簡単に達成できるものではありませんが、少しずつ少しずつ取り組み、前に進んでいかなければなりません。
 本校では授業の中でこの「SDGs」に関連させた授業を行っている先生もいます。また今後、ふるさと大野城市とSDGsの視点を取り入れた総合的な学習の時間も計画しているところです。
 読書ができることは当たり前でない、選挙活動ができるのも当たり前ではない、学校に通うことも当たり前ではない・・・世界には、今日生きることすらままならない日常にいる子どもたちがたくさんいます。当たり前の日常がいかにありがたいか・・・今日は、そんな大切なことを教えてくれた素敵な詩を紹介させていただきました。