学校日記

【1月18日】人として…

公開日
2022/01/18
更新日
2022/01/18

つぶやき

 先週金曜日に内村航平さんの引退記者会見があっていました。ライブでは見られませんでしたが、その後の報道等での映像や記事で内容を知ることができました。内村さんは、フラットでリラックスした状態で会見にのぞんでいたようでした。時折ジョークも交えながら…今後は、「日本代表選手、後輩たちに自分が経験したことを伝えたり、小さい子供たちに普及活動をしたり。体操に関わる全てのことをやっていけたら」と話されていました。会見の中の内村さんの言葉の一部です。

◆(体操でこだわってきたことは…)
 “着地”。世界チャンピオン、五輪チャンピオンとして止めるのは当たり前と思ってやってきた。(昨秋の)世界選手権の最後も、どういう演技でもいいので着地は絶対止めてやるという気持ちでやれた。結果は伴いませんでしたけど、これが体操だ、本物の着地だと、僕らしい所を最後見せられたと思う。
◆(リオオリンピック後、ケガなどで5年間苦しんだことに対して…)
 体操を突き詰めていくことを考えると、一番濃い5年間だった。栄光も挫折も経験できたのは、今後人に伝えていく立場からすると貴重な経験をさせてもらった。
◆(五輪とは…)
 自分を証明できる場所だった。世界選手権でチャンピオンになり続けても、果たして自分は本物のチャンピオンか疑い続けた。五輪でそれを2度も証明できた。
◆(自分の名を冠した技はできなかったが…)
やっていたら確実に『ウチムラ』と名前がついていた技はある。個人総合でトップを維持するために、必要なかったのでやらなかった。自身の名前のついた技がない状態で引退を迎えたけど、逆にそれもありかなと。それだけ自分が個人総合を誇りに思ってやってこられた証明にもなる。技名を1つ残すよりもすごいことを僕はやってきた。それはそれで、そこに誇りを持てている。
◆(体操界に残せてよかったと思うものは…)
 結果を残すことで他競技の選手たちにも尊敬される存在になれたのは非常にうれしかったけど、別に残したものじゃない。新しくプロの道をつくれたことや体操に可能性がまだまだあることは示せたけど、何を残せたかというと分からない。
◆(体操競技にどんな言葉をかけたいか…)
 ありがとうと軽い言葉じゃ感謝を伝えられない。3歳からやっていて、体操というもので内村航平がつくられた。感謝を返していかないといけない。体操に対して世界で一番僕が知っている状態にするため、ずっと勉強し続ける。極めるという次元よりももっと上のところまでいきたい。

 内村さんのこれまで残してきた軌跡、そして言葉は、「体操愛」に溢れ、彼の「謙虚さ」「向上心」「探究心」「レジリエンス(回復力やしなやかさ)」をあらわしていると私は思います。そして、後輩たちへのメッセージとしてこんなことを言っています。
「『体操だけうまくてもだめだよ』と伝えたい。結果を残していく中で、人間性が伴ってないと誰からも尊敬されないし、発言に重みがない。大谷翔平君も羽生結弦君も人間としての考え方がすばらしいと思うからこそ、国民の方々から支持されて、結果も伴う。そういうアスリートが本物なのかなと」

 内村さんは、体操での活躍が凄すぎて、「体操のスーパーマン=Supermura」とも一部で呼ばれていたそうです。“Supermura”の内村さん、一番大切なことはやはり「人間性」。私たちが何かを極めていこうとか、伸ばしていこうとするとき、その根底や基本となるのはやはり「人間性」であるということです。「人としてどうあるべきか」、そのことを考え、日常生活を大切にしていくことこそ、“成長”“成功”の秘訣であると思います。
 たくさんの素晴らしい感動と勇気を与えてくれた内村航平さんに、心から感謝と敬意を表します。