学校日記

【2月14日】敬意と感謝

公開日
2022/02/14
更新日
2022/02/14

Kのつぶやき

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 2月12日の西日本新聞の21面に、「高梨謝罪“商業五輪”の影」というタイトルで高梨選手のSNSに投稿した謝罪文について描かれた記事が載っていました。高梨選手の謝罪文を見られてない方もおられるかもしれませんので、全文載せます。

『日本チームを応援して下さっている全ての皆様
 今回、私の男女混合団体戦での失格で日本チームみんなのメダルのチャンスを奪ってしまったこと、そして、今までチームを応援してくださった皆様、そこに携わり支えて下さった皆様を深く失望させる結果となってしまった事、誠に申し訳ありませんでした。私の失格のせいでみんなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です。
 謝ってもメダルは返ってくることはなく責任が取れるとも思っておりませんが、今後の私の競技に関しては考える必要があります。それ程大変なことをしてしまった事深く反省しております。
 そして、私のせいでメダルを取れなかったにも関わらず、最後の最後まで支え続けてくれた有希さん、幸椰さん、陵侑、そして日本チームのメンバーの皆さま、スタッフの皆様には感謝してもしきれません。こんな私を受け入れてくれて本当にありがとうございました。
この度は本当に申し訳ありませんでした。
 高梨沙羅
私が言える立場ではない事は重々承知の上で言わせていただけるなら、どうかスキージャンプという素晴らしい競技が混乱ではなく選手やチーム同士が純粋に喜び合える場であってほしいと心から願います』

 私は、この謝罪文を読んで、悲しくて胸が痛くて仕方ありませんでした。何で、とてつもない努力をし続け、人々に感動を与えてきた高梨選手がこんな思いをし、謝罪しなければならないのか。そんな追い詰められた中でも、最後のところには競技や仲間のことを思う言葉…これは高梨選手がいかに利他的な素晴らしい人物であるかを表しているとも思います。新聞記事には…

 真面目な性格で、周囲への配慮を忘れない高梨。北京五輪前には『周りの人の力をいただいて、私は飛ばせてもらっている』と強調していた。鶴が描かれたヘルメットを今季使っているのは“恩返し”との思いがあるからだ。
 4位でメダルを逃した女子個人ノーマルヒル後には『結果で恩返しできなかったのが一番悔やまれる。私は頑張って当たり前。頑張っても結果が残せなかったら意味がない』と目に涙を浮かべた。混合団体は4人一組で争う種目だけに失格のショックが一層大きく、責任を背負い込んでしまったとみられる。

 そんな中、混合団体で共に戦った佐藤幸椰選手がツイッターを更新し、こんなメッセージを載せられました。

『なにひとつも奪われてなどいない。本物のファンは失望などしない。絶望しない限り、希望は失われない。あなたのジャンプが多くの方の人生を明るく変えたことはあっても、私の人生を変えた事実などどこにも存在しない。責任を取る必要もない。もちろん反省も。
 スキージャンプであなたがもたらした喜びは数えきれない。だから“スキージャンプ”には今もこれからもあなたが必要。時間はかかっても、顔を上げて周りを見渡して欲しい。そこにはあなたが与えた“喜び”で満たされた沢山の人がいる。
 さぁ、今日も私は良い準備をします』

 共に頑張ってきた人だからこその言葉。佐藤選手の心洗われる力強い言葉に感動し、涙が出ました。そして、計り知れないプレッシャーの中で、誰よりも努力し、頑張っている人たちを、周りが非難するなんてことが許されていいのだろうかとも思いました。スポーツ文化評論家の玉木正之さんは、「負けた選手を非難するのは、スポーツの価値が分からない人だ」と話されています。
 下の写真。私が大変お世話になった保護者の方から、先週土曜日に以下のメッセージと共に送られてきたものです。

『オリンピックの高梨沙羅ちゃんは、本当に涙が出ました。私の地元はスキージャンプとカーリングの街なので、冬季オリンピックも楽しみに観戦していますが、あれほど残酷な事が現実に起こるとは…。早く上川(高梨選手の実家)に帰って、美味しいもの食べてゆっくり寝てほしいと思いました。
 今日、地元の友達からのラインで息子さんが弘前大学(高梨選手が大学院に在籍)に行くので、大学を訪問したところ、「垂れ幕が、“ありがとう”になっていたよ」という連絡がありました。やはり、努力した人の姿は、みんなに伝わっていると思いました。本当に感動しました。なので写真を送ります…』

 選手それぞれに様々な思いはあると思いますが。高梨沙羅選手をはじめすべての選手に、胸を張って帰ってきてほしいと思います。そして私たちは、ものすごいプレッシャーと戦いながら頑張り抜いた選手達に敬意と感謝を表し、心からの拍手を送りあたたかく迎えたいものです。