【12月16日】生きる力
- 公開日
- 2022/12/16
- 更新日
- 2022/12/16
Kのつぶやき
先生方が2回目の研究授業を行っています。それぞれの授業を他の先生方に見てもらい、協議をして振り返ったり共有したりしながら、授業技術や方法等を向上させていこうとしています。子どもたちが主体的に学びに向かい、仲間と協働して課題解決していけるような授業づくりをしながら、子どもたちの思考力・表現力・判断力等をさらに高めていきたいと考えています。
さて、『学びを結果に変えるアウトプット大全』から、「自己成長に最も効果のあるアウトプット 」というところを載せます。
下の図は、アメリカ国立訓練研究所によって導き出された、学習定着率を表す「ラーニング・ピラミッド」というものです。
人が何かを学ぶ場合、どれだけ記憶に残りやすいのか、どれだけ定着するのかを方法別に調べたところ、効果が低いほうから順に「講義を受ける、人の話を聞く」「読書」「映像を見る・聞く」「実験・実演してもらう」「話し合う・グループ討論する」「自ら体験する」、そしてもっとも効果が高いのが「人に教える」という結果になっています。人に「教える」のが一番学びの効果が高いのです。
ロンドン大学の興味深い研究があります。あるものを暗記してもらう実験で、最初のグループには、「これが終わったあとにテストをしますので、暗記してください」と言います。もうひとつのグループには、「これが終わったあとに他の人に教えてもらいますので、ちゃんと記憶しておいてください」と言います。
同じ時間をかけて暗記してもらった結果、両方のグループに同じテストをしました。結局、「教える」ことはしませんでしたが、「教えてもらいます」と伝えたグループのほうが高い得点をとったのです。人に教えることを前提に勉強するだけで、記憶力がアップして学びの効果が上がるということです。
人に教えた経験がある人はわかると思いますが、しっかり理解していないと、人に教えることはできません。つまり、教えることで、自分の理解度や不十分な点が明確に見えてきます。そして、実際に「教える」日までしっかり勉強して、その不十分な部分を補います。
つまり、「教える」はアウトプットであり、フィードバックであり、さらなるインプットでもある。自己成長の3ステップをすべて含んだ、三位一体、完全、最強のアウトプット術であり、自己成長術であるといえるのです。
※自己成長の3ステップ…「インプット(弱点を補強する)」「アウトプット(教える)」「フィードバック(不十分、理解不足な点が明らかになる)」を繰りかえす3ステップ
いかがでしょうか?私たちも授業でペアやグループ、または全体で「説明をさせる」ことがよくあります。子どもたちは必死で伝えようとします。「わかったつもり」で説明しながら「あれ?」となることもよくあります。そしてまた、必死で課題に取り組み考えます。そして再チャレンジ。友だちが「なるほどー、わかった!」と言うとすごく喜びます。人にわかるように説明するというのは、私たち大人でも難しいです。上にもあるように、より深い理解をしていないと、人が十分にわかるような説明はできません。
ラーニング・ピラミッドではこの「人に教える」学習が、最も学習定着率がよく、なんと「90%」となっています。ピラミッドの上から4つが「受動的学習」、そして下から3つが「積極的(能動的)学習」、すなわち「アクティブ・ラーニング」、私たちが今取り組んでいる「主体的・対話的で深い学び」ということになります。そこにタブレットなどのICT機器も活用した学習が今まさに求められています。以前のひとりごとでも言いましたが、「インプット」は当然大切なのですが、それだけではより深い学びにはならないし、定着していかないということです。たくさんの対話や交流、実体験、そして積極的に人に話す、人に教えることが大切なのです。そのことがゆくゆくは、予測困難な未来をいきいきと生き抜いていく「生きる力」となるのです。
子どもも大人も、「見るだけ、聞くだけ、読むだけ…」でなく、いろいろな経験を積む、様々な人と交流する、教え合う、話し合う、助け合うことなどがとても大切だと思います。