【2月8日】性善説
- 公開日
- 2023/02/08
- 更新日
- 2023/02/08
つぶやき
西日本新聞のコラム「春秋」から…
幼児が井戸に落ちようとしていたら、助けようととっさに心が動く。「人間はもともと善の本性を持っている」と説いたのは古代中国の思想家、孟子である。よく言われる性善説だ。
回転ずしは性善説に基づくシステムだったのか。そう改めて気付いた人も多いのでは。しょうゆボトルをなめたり、他人のすしに勝手にわさびをのせたり。迷惑行為の動画が拡散した。 客は常識にのっとりルールを守る。その前提が崩れると、あらゆるサービスが立ちゆかない。今に始まったことではない、交流サイト(SNS)の普及によって明るみに出ただけ、という声もある。それでもSNSが仲間内での悪ふざけを助長していることは、疑う余地がない。
福岡県内外に展開する「資さんうどん」も被害に。卓上の天かすを共用スプーンで頬張る動画が流れた。あのみんなの天かすを…。ところがSNS上では、迷惑動画を見て敬遠するどころか「負けるな」「食べに行きます」と応援するコメントが次々に流れた。どれもおいしそうな写真付き。食欲をそそられて久々におじゃましました。天かすと同じく入れ放題のとろろ昆布も多めにいただいた。満足の一杯。入れ放題とは店と客との信頼の証しと実感する、
孟子が唱えた性善説は楽観的なものではない。人間の本性は善だが、環境によって悪になるので常に努力も要るという趣旨だ。善は簡単ではない。SNSの使い道も。
最近の報道でもとても話題になっていることです。私は、中高生をはじめとする若者のこのよう迷惑行為に憤りを感じるとともに呆れてしまいます。ある回転ずしチェーン店は、このような迷惑行為により、株価が下がり168億円の損失となったとの報道もありました。これだけ店側の損失が大きなものとなっているため、また、こんな行為は絶対に許されないということで、迷惑行為をした本人や親の謝罪があっても、「民事や刑事事件として厳正に対処する」と店側の発表があっていました。
以前、ある回転ずしチェーン店のアルバイト男性が、さばいた魚をゴミ箱に投げ捨て、一度捨てた魚を拾い上げてまな板の上に置くという動画をあげました。この動画により株価は27億円の損失があり、アルバイト男性に1000万円以上の損害賠償請求を行っています。また、別の店でも同様な迷惑行為の動画によって、店が「閉店」に追い込まれ、その動画の人に数千万円の損害賠償請求をする裁判も行われています。迷惑行為が、店を閉店に追い込み、その店の方々の生活を追い込んでいくのです。「謝ればいい…」ではとても済まされないことだと思います。SNSは便利です。でも、やはり怖いです。そして、人に迷惑をかけようがいやがる人がいようが、自分が面白ければ、または興味を持って見てくれる人がいればと、このような迷惑行為を行い、それを動画にしてネットにあげる。中学生においても、スマホやSNSのトラブルはあとを絶ちません。さらに、迷惑行為は若者だけの問題でもなく、大人でもあります。
これらのことは、人としてのマナーや相手(見える相手、見えない相手を問わず)を大切にしていない心、さらには様々なストレスを発散したいなどの気持ちが起こしているのかもしれません。それでも、迷惑行為は許されないことです。
救いなのは、これらの動画や報道などがあるたびに、「許せない」「被害にあった店を応援しよう」などと声をあげ、よりよい行動をしようとする人たちがたくさんいらっしゃることです。今こそ、学校だけでなく社会全体で、地域の一員、社会の一員としてのモラルやマナー、礼儀などについてしっかりと考える機会にしなければと思います。