学校日記

【2月10日】脳への影響

公開日
2023/02/10
更新日
2023/02/10

つぶやき

 2月6日にトルコ南部で起きた地震で、トルコとシリアでの死者数は昨日までに2万人を超えたとの報道があっていました。日本をはじめとする様々な国の救助隊も加わって、氷点下の厳しい寒さの中、懸命な捜索が続いてはいますが、発生から3日が過ぎ、生存者の救出は困難を極めています。死者数では2011年の東日本大震災(2022年時点の死者1万5900人、行方不明者2523人)を上回る大災害となっています。
 トルコ当局からは、9日夜までに1万7406人の死亡、負傷者は7万人超と発表との報道、シリアの国営メディアからは1347人が死亡したと、がれきだらけの映像とともに報じられていました。これとは別に反体制派が支配する同国北西部では、現地の団体によると少なくとも1970人が死亡、2950人以上が負傷したとのことでした。
 テレビから流れる映像や報道だけでも、本当に胸が痛くなる、苦しくなるものでした。一方で、懸命な救出作業によって、崩れたがれきの下からヘソの緒がついたままの赤ちゃんが救出されたとき、がれきの下で幼い姉が妹をかばいながら36時間後に無事に救出されたときなどの写真や映像を見ると、何とも言えない気持ちになるとともに、命の素晴らしさや人間愛を感じずにはいられませんでした。生存率が著しく低下する「発生後72時間」を超え厳しい状況ではありますが、一人でも多くの方の命が救われることを心から願います。

 さて、「脳トレ」でも有名な医学者であり現在、東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太さんが、コロナ禍で進むオンラインでのコミュニケーションに警鐘を鳴らす『オンライン脳』の本を読み始めました。まだすべてを読んではいませんが、前半このようなことが書かれています。
◆オンラインでは、対面でのコミュニケーションとは明らかに違う。オンラインでは、情報の伝達はできても他者と本当の意味で共感するコミュニケーションはとれない
◆対面でお互いの顔を見ながらよいコミュニケーションがとれた場合に、お互いの脳が「同期する」という現象が起きるが、オンラインではこの同期が起きない
◆対面のコミュニケーション「共感」するときにで働く大脳の部位「前頭葉の内側」「側頭葉」「側頭葉と後頭葉の間」が、オンラインではほとんど働いていないことがわかった。このときの脳の状態は、「ぼーっとしている」ときとほぼ同じ状態である

また、スマホのことも書かれています。
◆スマホを長時間使う子ほど、学力低下が起こる。これは、単にそれにより勉強時間や睡眠時間が短くなるからというものではなかった。スマホを長時間使用することによって、脳に何らかの悪影響を与えている
◆仙台市教育委員会との協力で一人一人にID番号をふり、個人が特定できないようにして、7万人の学力やスマホなどの使用時間、睡眠時間など様々なものを調査し、データ化し調査をした。その結果、「スマホを始めれば成績が下がる。手放せば成績が上がる」「スマホで使うアプリが多いほど、学力が低い」などの結果が出ている。

 川島さん曰く、「スマホを使って学習するくらいなら、何もしないほうがましである」「スマホを使い過ぎる子は、3年で大脳全体の成長が止まった」とも書いています。これらはとても恐ろしいことです。最近、『運動脳』という本も発売されテレビにも出られていた世界的なベストセラー『スマホ脳』の著者アンデシュ・ハンセン氏もそのようなことを書かれていました。ハンセン氏の母国教育大国のスウェーデンでは、スマホやタブレットの使用を制限する方向に進んでいるそうです。また、皆さんもご存じかもしれませんが、iPhoneやiPadの生みの親であるスティーブ・ジョブズ氏はわが子に絶対にiPadも触らせないし、デジタル機器の使用も制限していたということです。ハンセン氏も、「IT企業トップは子供にスマホを与えない」と言っているし、科学作家の竹内薫氏も「当然でしょう。スマホがどうして人を夢中にさせるのか、仕組みを知っている人間なら子どもに安易にスマホは使わせませんよ」と。
 コロナ禍で加速した「オンライン授業や会議」、そして以前から問題になっている「スマホ」…とても便利で私たち大人も日々使っていますが、学校、家庭、社会全体で、子どもたちの将来への影響も考えた使い方をもっと考えなければならないときにきているのかもしれません。