学校日記

【2月21日】植福

公開日
2023/02/21
更新日
2023/02/21

Kのつぶやき

 二十数年前に卒業記念で植えられたのではないかという御陵中の校門付近の梅が、今、綺麗に咲きほこっています。早いものは少しずつ散り始めていますが、春はもうすぐと感じさせてくれています。学校では先週、期末考査も終わり、いよいよ2月もあと1週間。3年生が御陵中に登校するのも、あと11日となりました。少しさみしい気持ちにもなりますが、3年生の皆さんが気持ちよく巣立っていけるように、子どもたちと教職員が一緒になって卒業式への準備をしていきたいと思います。
 さて、何度かこのひとりごとでも紹介した児玉圭司さんの『1日1話 自分を強くする成功の教科書』から、「幸運の種をまくような生き方をしよう」というところを紹介します。

 基本的に、人間は誰でも幸福になりたいものです。「幸福」こそ、人間にとって最大のテーマと言えるでしょう。そこで明治時代の文豪、幸田露伴(こうだろはん)は成功者と失敗者を徹底的に観察し、「人間の幸福」をテーマにした本を書きました。しかし、幸福をテーマとした本なのに、『努力論』というタイトルなのが面白いところです。このタイトルになったのは、幸田露伴が「どうすれば幸福になれるか」という考え方よりも、「どういう心がけで生きれば人生を肯定的に生きられるか」を中心に説いているからでしょう。そして肯定的に生きるための心がけとは、「他責ではなく自責で考える」「日々、努力を重ねること」だと述べています。
 さて、本書の中で幸田露伴は「幸福三説」という考え方を主張しています。
1 惜福(せきふく):福を使い果たさないこと
2 分福(ぶんふく):自分に来た福を、他に及ぼしていくこと
3 植福(しょくふく):将来にわたって幸せであり続けるために、今から幸福の種をまいておくこと
 上記の3つはいずれも幸福を招く方法論ですが、幸田露伴は最も重要なのは植福であると言っています。たしかに、今の自分は過去に自らまいた種が芽を出した結果です。過去を書き換えることはできませんが、今からいい種をまき、努力し続ければ望ましい未来につながるということでしょう。まさにそれこそが、福(=幸運)を招く最良の方法なのです。

 どんなときに幸せと感じるかは人それぞれ…。ないものねだりで、「○○があれば…」と考えることもあるかもしれませんが、それよりも身近なことの中に「幸せ」はたくさんあることを感じられる感性をもちたいと思います。
 たいへんイヤで苦しいコロナ禍、日常の当たり前の中に、とても有り難いこと、素敵なこと、幸せなことと感じられることがたくさんありました。また、嬉しいこと、感動すること、幸せを感じることは、決して自分一人の力ではなく、多くの人の「おかげ」であることも私たちは知っています。
 幸田露伴氏は、自分の幸不幸を他人のせいにせず、自らの努力によって生み出す幸せの大切さを教えてくれています。そして、将来にわたって幸せで有り続けるために(これは個人の幸せだけでなく、周りの人、生きている人すべて…)、日々幸せの「種」をまくことがもっとも大切であると主張されています。たとえ今は苦しくとも、それを乗り越えた先にまた「幸せ」が訪れると信じ、目先のことだけにとらわれず「利他の心」を大切にしながら、これからも日々努力を重ねていきたいものです。