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【10月8日】謙虚さを忘れず…

公開日
2025/10/08
更新日
2025/10/08

校長のひとりごと

  人間学を学ぶ月刊誌『致知』11月号に「名を成すは毎(つね)に窮苦(きゅうく)の日にあり」からです(一部抜粋要約)。


 『酔古堂剣掃(すいこどうけんすい)』という本の中に「名を成すは毎に窮苦の日にあり 事を敗(やぶ)るは多くは志を得るのに時に因(よ)る」という言葉がある。

 人が名を成す、すなわち成功するのは突然成功するわけではない。必ず窮苦の日があって、それによって鍛えられて成功する。だから、成功するかどうかは窮苦の日の過ごし方で分かる。同じように、失敗するのはたいてい得意・得志の時による。うまくいっていい気になっていて失敗する、ということである。

 時代を越え国を越えて不変の真理である。この言葉に勇気を得て、あるいは気づきを得て新たな人生の一歩を踏み出していった人も少なくないだろう。渋沢栄一もその昔、『酔古堂剣掃』を読み、感銘を受けたに違いない。渋沢が米寿の時に揮毫(きごう)した書が残っている。キッコーマンの中興の祖、二代目茂木啓三郎氏もこの言葉を励みにしていたと、ご子息の友三郎氏(キッコーマン名誉会長)から伺ったことがある。父はこう言ったという。

「名が残るような立派な仕事はいつも苦しい状況の中から生まれてくる。厳しい時こそチャンスだ。逆に、調子のいい時は失敗も多いので、油断はせず、気を引き締めていかねばならない」

 友三郎もこの言葉を書斎に掲げて訓言としているという。社のトップが二代にわたり、この言葉を大事にしてきたことと、キッコーマンの発展は無縁ではないだろう。

 苦節十年という。苦節の時を経ないで成長した人も会社もない。同時に慢心増長して発展してきた人も会社もない…。


 そして、森信三さんの言葉が載っています。

「われわれ人間は自分が順調に日を送っている間はとかく調子に乗って、人の情とか他人の苦しみなどというようなことには気づきにくいものです。そこで人間は、順調ということは表面上はいかにも結構なようですが、実はそれだけ人間がお目出たくなりつつあるわけです。すると表面のプラスに対して、裏面にはちゃんとマイナスがくっついているという始末です。同時にまた表面がマイナスであれば、裏面には必ずプラスがついているはずです」。


 私の両親は、「苦あれば楽あり 楽あれば苦あり」という言葉をよく言っていました。今は苦しくても、頑張っていればきっと楽しいこと幸せなことがきっとくる。また逆に、今がよくてもずっといいわけではない。だからこそ、常に謙虚に、横着をせず、努力し、ひたむきに生きることが大事!…と。

 私たちは、一人で生きているわけではなく、たくさんの人・もの・ことのおかげで生きています、生かされています。そういう感謝の気持ちを忘れず、日々精進することが大切なのだと思います。


(ひとりごと第1089号)