【10月15日】素敵な折り目
- 公開日
- 2025/10/15
- 更新日
- 2025/10/15
校長のひとりごと
今日午前中は、博多の森陸上競技場で行われた「筑前地区駅伝競走大会」の応援に行ってきました。結果は大東HPですでにお知らせしましたが、女子はオープン参加、そして男子が7位という結果でした。県大会出場を狙っていた男子でしたので、非常に悔しかったと思います。特に2年生にとっては、3年生とたすきをつなぎ共に走ることが最後となったため、様々な思いが湧いてきて涙を流す場面もあったと、顧問の先生から聞きました。ただ私は、先輩ともう走れないことが悲しいとか、先輩と県大会に出場できなくて悔しいとか、そんな気持ちになれることが素敵だと思います。一生懸命やっているからこその悔しさ、悲しさだと私は思います。だからこそこれから、先輩方のよき伝統を引継ぎ、さらに練習を積み力を付け、先輩たちを越え、素晴らしい陸上部にしていくことが使命だと思います。更なる陸上部の活躍に心から期待します!
さて、10月6日付、日本教育新聞のコラム『不易流行』からです。
紙飛行機を折った後、元に戻そうとしても、一度付いた折り目は簡単には戻らない。しかし、その紙を折り目に従って再び折れば、容易に紙飛行機を作ることができる。一方、紙飛行機の折り目の付いた紙で、鶴やかぶとなど別の形を折ろうとすると、折り目があることで作りにくい。
紙の折り目は、見方によれば「習慣」のようなものかもしれない。習慣となったものは、意識せずとも容易にできるようになる。家庭や学校教育で、子どもが身に付けていく習慣は、やがて生涯を左右するほど大きな存在となり得る。何を習慣化させるかを意識することで、人生は形づくられていくことになる。幕末の儒学者・佐藤一斎の言葉に「一の字、積の字、甚だ畏る可(べ)し」がある。物事には初めがあり、それを積み重ねていくことで形となる。初念の「一」と、継続の「積」の字に対する畏怖(いふ)の念が、言葉として紡ぎだされたのであろう。
南に向かって踏み出す一歩と、北に踏み出す一歩とでは、到達地点は変わってくる。きたに随分進んだ後に、進むべき方向は南と気付き、進路を変えることもある。学校教育では、子どもたちが初めて学ぶ「一」が多くあり、それを重ねる「積」もある。日々の授業や関わりの中で、子どもの真新しい紙に、折り目を付けている自覚と畏れは、常に持ち続けていたい。
いい折り目をつけること、それはよい習慣をつけること、人として大切なことを学び身に着けることだと思います。健康面においてもメンタルにおいても、成長や成功することについても「よい習慣」がとても大切であることを、様々な世界のトップで活躍している人たちが証明しています。私自身は、よい習慣より悪い習慣?もあり、改善しなければ…と思うこともなかなか改善できておらず反省しています…。
また、人がよい習慣をつける上でも、どういう「環境」にいるかも大事になります。どんな人と一緒にいるか、その人がどんなことを大切にしているのか…それが子どもたちに大きな影響を与えます。私たち教育者はもちろん、子どもたちの身の回りにいる大人が、子どもたちに何を教え、何を大切にしているのか。また子どもたちのよさをいかに引き出すか…それがとても大切だと思います。子どもたちの小さな頑張り、小さな進歩、思いやりのある行動…それらを認め、可能性を広げることが大事です。「きっとできる!」「必ずできる!」「失敗してもチャレンジすることが大事!」「失敗や困難の先にこそ、成長や成功がある」ことを子どもたちに言い続け、そして、何事にも粘り強く努力する子どもたちに育ってほしいと思います。
子どもの真新しい紙に折り目を付ける大切な仕事、大切な役割を私たちは担っていることを肝に命じて関わらなければと思います。
そうそう…
先ほど、2年生の駅伝のメンバー3人が校長室を尋ね、応援のお礼に来てくれました。それから20分ほどして、3年生の駅伝メンバー3人(木村魁さん、髙田颯人さん、福井彪豪さん)が尋ねてきて、
『今まで応援してくださってありがとうございました!せっかく応援に来てもらったのに、7位という結果ですみません。でも、精一杯力を出したので…。今まで本当にありがとうございました!』。
私は言いました。
「いやいや、君たちは素晴らしい! 7位入賞だよ! 素晴らしいよ! もちろん悔しさはあると思うけど、立派な走りだったよ。何より、わざわざ校長室までお礼に来てくれて…。人として素晴らしい! 後輩たちがきっと君たちの残してくれた素晴らしい伝統を引き継ぎ、さらに素晴らしい陸上部にしてくれると思うよ。これからは、自分の進路実現に向かって、またしっかり頑張ってね! そして、これからも憧れの先輩でいてほしいし、日常生活でも頑張る君たちでいてください!」。彼らは、笑顔で『はい! ありがとうございます!』と応えてくれました。何だか、心がほっこりとあたたかくなった私でした。彼らには素敵な「折り目」がついていますね!(^-^)
(ひとりごと第1093号)