【9月12日】品格
- 公開日
- 2024/09/12
- 更新日
- 2024/09/12
校長のひとりごと
9月9日付、日本教育新聞の「こころに響く校長講話」に東京都練馬区立大泉西小学校長の岩切洋一先生という方の言葉が載っていましたので紹介します。
学校から帰る電車内で見た光景です。その日、車内はやや混雑していて、座席は全て埋まり、立っている人が数人いました。私はドアから3番目の座席に座って、本を読んでいました。ドアに最も近い座席に座っていたのは若い女性。派手なTシャツにジーンズという服装で、ずっとスマホを見ていました。
ある駅に電車が止まる直前のことです。急にその女性が立ち上がり、ホームに降りていきました。代わりにそのドアから最初に乗ってきたのはお年寄り。女性が立ったばかりの座席に座ったのですが、その駅を発車後、二つ先のドアを見ると、何と先ほどのじょせいが立っていたのです。
いったん近くのドアから降りた後、ホームを数メートル歩いて乗り直したのです。どうやらホームにお年寄りがいるのを見つけ、相手に気遣いをさせることなく席を譲ろうとしたように思います。女性はスマホを見ながら、終点まで立ち続けていました。
数日後、今度はとてもきれいな洋服を着て、有名な高級バッグを持った若い女性が、ヘッドホンで音楽を聴きながらシルバーシートにずっと座っていました。目の前には杖(つえ)をついたお年寄りが立っていたのに、です。
上品で美しい雰囲気がある様子を「品格がある」と言います。品格がある人というのは見た目ではなく、心の上品さ、心の美しさが感じられる人のことです。そんな人は周りから格好良く見られ、憧れや尊敬を集めます。今日紹介した二人の女性。皆さんはどちらに憧れますか。
「品格」という言葉だけ聞くと、少しハードルが高い気がしてきますが、岩切先生がおっしゃっていることは、服装などでいくら着飾ったとしても、周りへの気遣いや配慮、心の美しさがないのはいかがなものか…ということではないかと思います。私もまだまだ足りないところばかりですが、いつも「目配り・気配り・心配り」ということをずっと言ってきましたし、自分自身がそういうことを大切にしなければと思ってきました。親切の押しつけでなく、さらりと気配りができる、さらりと周りへの心配りができる…そんな人になりたいと思います。私には「品格」なんてものはまだまだありませんが、少しでも格好いい人になりたいと思います。
「目配り・気配り・心配り」のよくできる素晴らしい子どもたちがたくさんいます。私たち大人も、そのことに気づく目を持ちたいし、そういうことを大事にして、子どもたちの小さな頑張りや気遣いを認め、伝え広げていくことも大切なのではないかと思います。
服装や髪型などの身なりは、わずかな時間と手間で変えられます。しかし、心の上品さや美しさはすぐには生まれません。日頃からの心がけであり、そのことを行動に移し、そういうことを大切にする積み重ねではじめて育ってくるものだと思います。まずは自分自身が少しでも「品格」を身につけられたらと思います。