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【9月18日】情熱、夢…

公開日
2024/09/18
更新日
2024/09/18

校長のひとりごと

 今朝の西日本新聞には「唐津城照らす中秋の名月」、読売新聞には「タワー越しの名月」というタイトルで、とても素敵な「中秋の名月」の写真が載っていました。昨夜の「中秋の名月」、本当に綺麗でしたね!幻想的な月、壮大な宇宙に想いを馳せて、なんとも言えない気持ちになりました。

 昨年の9月29日のひとりごとに載せましたが、昨年の「中秋の名月」は満月でした。昨日の月もまん丸でとってもきれいでしたが、今年は今日が「満月」となります。今日もまた天気はよさそうなので、昨夜、見そこなった方は、今日の満月を見るのもいいかもしれませんね。ちなみに、次に「中秋の名月」が満月になるのは2030年です。


 さて、今朝の西日本新聞のコラム『春秋』からです。


 東京の京都撮影所を取材で訪れたのは、8年前の残暑厳しい9月。時代劇が減り続ける冬の時代に撮影所で受け継がれてきた技を見ておきたかった。蒸し暑い夜だというのに、屋外のセットはしんしんと雪が降りしきる冬の長屋に姿を変えていた。うっすら地面を覆う雪は寒水石を細かくしたもの。そこへ機会で雪を降らせる。スタッフ数十人がテストを繰り返し本番へ。人影のない真っ白な道を凍えながら歩く主人公がちょうちんの灯で指先を温める静かな場面だった。「あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り、国境を越えた」。米国の晴れ舞台から、真田広之さんは日本の時代劇関係者らに向けてスピーチした。プロデューサーと主演を務めた配信ドラマ「SHOGUN 将軍」が米テレビ界最高の栄誉とされるエミー賞を席巻した。熟練の時代劇スタッフを日本から呼び寄せ、わびさびを常に意識して作り上げたドラマが評価された。演じた役は徳川家康がモデルだ。放送開始を控えた今年2月、本紙の取材に語っている。少年時代に家康の小説を読んで以来、家康の遺訓と伝わる〈人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし〉が常に頭の中にあった。「急がず遠回りしてでも、いろんなものを身に付けて歩んでいこう」。そう心に刻み、ハリウッドに拠点を移して20年。出演作ごとに奇妙な日本の描写を正してきた。遠き道は、いまここに至る。


 真田広之さんは、千葉真一さんが世界で通用するアクションスターを育成するために創立した「ジャパンアクションクラブ(現 ジャパンアクションエンタープライズ)」の出身です。映画「戦国自衛隊」、「里見八犬伝」などで、アクションスターとして人気を博し、その後も、映画「麻雀放浪記」や「病院へ行こう」、テレビドラマ「高校教師」などコメディから恋愛ドラマまで幅広くその役をこなし、アクションだけでなくその演技力も高く評価されていました。そして2003年に公開され、トム・クルーズさんや渡辺謙さんと共演したハリウッド映画「ラストサムライ」への出演以降は活動拠点をロサンゼルスに移され、日本を代表する国際派俳優として活躍されていました。そして、今回の受賞…本当に素晴らしいです。

  「SHOGUN 将軍」は、ハリウッド作品では真田さんが初めて主演とプロデュースを務めるドラマで、日本から見てもおかしくない、「本物の日本」を描きたいという思いから演技の所作や小道具、衣装などを監修、リアリティーのある時代劇とアクションシーンが高く評価されています。


 主演男優賞をとったときの真田さんのスピーチは流ちょうな英語で、「本作は東と西が(壁を越えて)出会う夢のプロジェクトでした。とても難しいプロジェクトでしたが、全員が一致団結しました。私たちは全員で奇跡を作る事ができました。そして我々は共により良い未来を作ることができます。本当にありがとう!」という、未来に向かって一致団結することの大切さや素晴らしさを伝えるスピーチでした。

 俳優陣やスタッフの方々などと一緒に壇上に上がった作品賞受賞の時の真田さんのスピーチは、「日本語で短くスピーチさせてください」と、次のように話されました。

「これまで時代劇を継承して、支えてきてくださった全ての方々、そして監督や諸先生方に心より御礼を申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱と夢は、海を渡り、国境を越えました」。

 あえて「日本語」で、たくさんの方々への心からの感謝を、素晴らしい言葉で伝えたのです。私は胸が熱くなりました。真田さんの人柄、情熱、これまでの努力、そして強い志と信念があったからこその結果だと思います。真田さんをはじめ作品に関わられたすべての皆さん…エミー賞史上最多18部門受賞、本当におめでとうございます!