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【9月26日】AIと人間力

公開日
2024/09/26
更新日
2024/09/26

校長のひとりごと

 9月23日付、日本教育新聞のコラム『不易流行』からです。


 「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉は死語になるかもしれない。彼岸となり、異常な猛暑は落ち着いたが、夏日が続く。なぜ、世界的に異常気象が続くのか。個別に対処を迫られ、一人一人が必死に奮闘している。しかし、人間として課題に対峙(たいじ)しているか。

 人類が対峙しなければならない課題は多数ある。人工知能(AI)の進化がすさまじい。AIとどう共存するか。分析や憎悪も急激に広まっている。異なる文化や価値観を持つ人々とどう共存するか。祖先から受け継いだ地球を未来へつなぐために、私たちにできることや教育にできることは何か。現在、AIにできないことを人間が担当しようと必要な資質・能力の育成に力を入れている。思考力・判断力・表現力よりも、祖先から受け継いできた共感や感謝、思いやりなどの人間力の方が重要である。多様性に包容する姿勢も必要不可欠。エビデンスを求める姿勢が競争をあおってはいないか。世界的に競争が激化しているのではないか、と不安になる。

 彼岸は、私たちが自分自身を見つめ直す絶好の機会である。彼岸に、命の尊さ、家族の絆、そして、歴史の重みを再確認したい。私たちは、AIとは異なり、連綿と続く命のつながりの中にいる。だから、生きていける。古今東西とのつながりを再認識し、深めたい。


 今年の彼岸の入りは9月19日でした。先日、「中秋の名月」の話題を載せましたが、例年であれば、ちょうど「中秋の名月」や「彼岸の入り」の頃には、最高気温もずいぶん下がり、特に朝晩は涼しくなっているイメージでしたが、今年は10月なりそうなこの時期でもまだまだ日中は「夏日」になるなんて、本当に夏が長くなっています。

 そして、コラムにあるように人工知能の進化は目を見張るものがあります。先日、「世界的に有名な半導体メーカー『インテル』が、AIブームに乗り遅れ、業績不振にあえいでいる」という報道があっていました。先日ある講演会で、AIの進化が凄まじいが、このAIには相当な「半導体」が必要である…との話を聞きました。おかげで、世界中で半導体が不足したり、半導体企業の中には、ここ数年でとてつもない利益をあげ、業績で世界ランキングに一気に入ってきた会社もあると聞きました。熊本の工場が話題になっている半導体企業TSMC(台湾が本社)もその一つです。

 AIの技術は進み、音声認識、画像認識、自然言語処理や対話、予測など様々な分野にいかされています。誰かが日本語で話した動画が、映像も含めて簡単に別の言語で話しているかのように変換することも容易にできるようになってきています。もちろん、それを悪用したフェイク画像や動画なども出回るようになりました。

 便利になっていくことは喜ばしいこともたくさんありますし、現在でも多くの恩恵を受けていることもあります。しかしながらコラムにもあるように、命の尊さ、命は引き継がれていること、また、人と人との繋がりや絆、文化や習慣が違っても互いを理解し尊重すること、感謝や思いやり…など、人として大切なことを決して忘れないようにしなければと思います。