【5月8日】5つの決意
- 公開日
- 2023/05/08
- 更新日
- 2023/05/08
校長のひとりごと
今日午後は第53回大野東中学校体育祭の「結団式」。そんな日に私は欠席のできない出張…とても残念です。が、子どもたちは今日からの2週間、精一杯に体育祭練習に取り組んでくれるものと期待しています。きっと素晴らしく感動的な体育祭を創り上げてくれると思っています。
さて、吉田松陰や西郷隆盛などにも影響を与えたと言われる幕末の志士、橋本左内という方をご存じでしょうか?その橋本左内がわずか14歳のときに一人前の大人になるために抱いた5つの決意を書き記した『啓発録』というものがあります。
左内が『啓発録』に綴った決意は次の5つです。
■「去稚心(きょちしん)」…幼稚な心、甘ったれた依頼心を捨て去り、独立独歩の心を起こすこと
■「振気(しんき)」…何事に対してもやる気を起こし、勇気をもって事に当たる
■「立志」…志を立てる。一所懸命勉強して天下統一に役に立つ人間になる
■「勉学」…学に勉める。学問に励む
■「択交友(たくこうゆう)」…交友を選ぶ。友を選び、切磋琢磨して自分を磨く
このことについて、空手道場「瀬戸塾」師範の瀬戸謙介氏の言葉が「致知」に載っています(一部抜粋要約して載せます)。
5つの中でも一番大事なのが「去稚心」です。なぜなら、その後の4つの決意は、稚心を去らなければすべて成り立たないからです。…子どもというのはその存在そのものが甘えであり、稚心を去ることは容易なことではありません。それでも繰り返し、繰り返し、辛抱強く説き続けることで少しずつ成長を促すことができるのです。稚心が抜けてきた子どもは、空手の練習においても、気合いの出し方、技の繰り出し方、一つ一つが明らかに変わってくるのです。
「気」とは生命体の発するエネルギー。「振」とは、自分自身の心の中で決めたことを、どんなことがあってもくじけず、立ち向かっていくように気力を奮い立たせ、怠け心が起きないように気を引き締めることです。時には負ける悔しさを味わうことことも振気を発動する一つのきっかけになります。
「志」とは、自分の心に向かっていくところをいいます。自分が何をしたいのかをハッキリと見定めたら、まっすぐにその方向を見据え、初心を忘れないようにその心を持ち続けて行くことが大切です。志というとものすごく大変なことのように思われるかもしれません。しかし私が子どもたちに言うのは、「人の役に立つ人間になろう」ということ、それだけです。同時に私は、「夢と志は違うんだよ」とも説いています。個人の欲望の夢ではなく、夢を達成した上で自分は何を求めるかを考える。人間の本来の喜びが何から得られるかというと、他人様の役に立ったときです。自分が培ってきた能力や技能を通して人を助け、感謝されたときの喜びは格別です。
「学」とは習って真似をするという意味です。優れた人物のよいう行い、よい仕事などを見習い、実行することをいいます。勉学には、知識・技能を養う実学と、優れた人間性を養うための徳育の二種類があります。実学は世の中を歩んでいく上で不可欠ですが、実学しか学ばない人はそれを自分のために使って世の中を害してしまうこともあります。
「択交友」は、たくさんの人の中からよき友を選び出すということです。人間というのは、環境に左右される生き物です。自分を堕落させる人ではなく、自分を高めさせてくれる人、お互いに切磋琢磨できる人を選ぶことが有意義な人生を切り開いていく上でとても大切です。
時代背景がまったく違うとはいえ、今でいう14歳の中学生が、大人の私たちも大切にしなければならないようなこんなにも立派な決意をしていたことに驚きです。
子どもたちには、人に頼ることはもちろん大切なのですが、うまくいかないことを人のせいにしたり甘えたことばかり言ったりするのではなく、自分を振り返ることも大切にしてほしいと思います。何より、「志」を持ち、やる気をもって勉学に励み、人間関係や人との繋がりを大切にしながら、世の中に貢献できるような人になってほしいと思います。