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【5月11日】小さな仕事

公開日
2023/05/11
更新日
2023/05/11

校長のひとりごと

2021年に放送されたNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公としても知られ、2024年には新一万円札の顔となる渋沢栄一氏。第一国立銀行(現・みずほ銀行)や東京商法会議所(現・東京商工会議所)、東京証券取引所といった多種多様な会社や経済団体の設立・経営に関わりました。なんと関わった企業は約500社、さらに約600もの教育機関と社会公共事業の支援もし、「日本資本主義の父」と称される実業家です。その渋沢氏の著書『至誠と努力』の中に「日本一の草履(ぞうり)取りになれ」というものがあります。

 「自分はもっと大きな仕事ができる人間だ」という自信があるとしよう。しかし、その大きな仕事だって、ちまちました小さな仕事が積もり積もって出来あがるものなのだ。だから、どんな状況でも仕事を軽んじず、勤勉・忠実に、誠意を込めて、目の前の仕事を完全にやり遂げるようにしなければならない。
 豊臣秀吉が織田信長から重用された理由も、まさにこれだった。草履取りの仕事を全力でやり、兵の一部を与えられたときはリーダーの任務を完全にやり遂げた。だから彼はその仕事ぶりに感心した信長から大抜擢され、柴田勝家や丹羽長秀に肩を並べるくらいまで出世することができたのだ。

 「草履とり」とは、武家に使える使用人の仕事の一つで、主人の外出のとき草履をそろえ,替えの草履を持ってお供をするような仕事のことです。その仕事にも秀吉は全力で取り組んでいたということです。要するにそういう小さな仕事、一見つまらなそうな仕事にもやりがいをもって一生懸命に取り組むことが、他のことへの取り組み方にも繋がり、結果的に人から認められたり、成功へと近づいていくことだと教えてくれているのだと思います。
 このことは、私たち教職の仕事はもちろんどんな仕事においても大切な教えだと思います。小さなことを粘り強く、謙虚さをもちながら徹底して行っていくことで少しずつ成果は表れてくると思います。
 また、このような考え方や姿勢は、子どもたちの日常の中でも大切になると思います。たとえば、「係活動に毎日責任をもって一生懸命に取り組む」とか、「相手に敬意を払い立ち止まって挨拶をする」などもそうです。誠意をもって物事に取り組むことで、自分自身も成長するし、人からも認めてもらえると思います。すぐに大きな結果はでなくとも、目の前のことに真摯に向き合うことこそ、大切であるということです。これは、昨日のひとりごと「凡事徹底」にも通じるものです。
 目の前の小さな仕事も誠意をもって一生懸命取り組んでいるか?自分自身を問い直すきっかけにしたいと思います。