【6月6日】イロハモミジ
- 公開日
- 2023/06/06
- 更新日
- 2023/06/06
校長のひとりごと
アニー・デビッドゾンという方が絵を描かれ、リズ・マーヴィンという方が文を書かれたものを翻訳された『木に学ぶ60の知恵 まっすぐだけが生き方じゃない』という本があります。木のイラストとともに、その木の生態と人の生き方や心の持ちようを文に表現されています。その中の「【イロハモミジ】最初から美しいもの、なんてない」のところを抜粋します。
夢があるとすると、すぐにでもかなえたいと焦ってしまうもの。でも、いにしえの賢者は言いました。「忍耐」の意味は、待つことそれ自体ではなく、その時間をどのように過ごすかにあると。そんな「忍耐」を教えてくれるのが、イロハモミジです。時の流れがゆるやかで、冬はひどく冷え込むこともある山のなかでは、無理に急いで枝を伸ばそうとしても、あまり良い結果は望めません。そんな環境で育つとき、イロハモミジは「忍耐」します。焦ることなく時間をかけて、ひっそり、じっくり、成長していくのです。そうして日々を重ねるうち、イロハモミジは優雅で上品な枝ぶりを見せるようになります。そして気づけばいつのまにか、目にも鮮やかな紅葉で、秋の山を彩るようになるのです。
「イロハモミジ」について、注釈で次のように書いていました。
低い山にいるイロハモミジ。まわりの高い山の木が日陰をつくって彼らを隠そうとしても、それにあらがう工夫をしています。上からの太陽光を求めてじょじょに背を伸ばしつつ、陽(ひ)が当たらなくなった下の枝は枯らしていくため、葉どうしがあまり重なっていません。優雅な枝ぶりは、太陽光を効率よく受けるために生まれたものなのです。
生き残るために、様々な工夫や変異などをしながら生き残っていく植物や生物。そして、すぐに成長せずあえて「忍耐」の時間があり、時期を見てまた成長する。まさに人間の生き方とも重なるところがあります。人間も生きていく中で、様々なことを学び、工夫や努力をしていきます。時には立ち止まり考えることもあります。ひたすら「忍耐」の時期もあるでしょう。それでもあきらめず、ひたむきに努力を続けながらまたチャレンジする。すると花開くときがある。学校の教育目標に「しなやかな心」という言葉を入れました。様々な困難があっても「しなやかな心」をもってたくましく生き抜いていく子どもたちに…という願いです。困難を乗り越えながら、日々成長してほしいと思います。