【6月16日】Thanks!
- 公開日
- 2023/06/16
- 更新日
- 2023/06/16
校長のひとりごと
エッセイストの松浦弥太郎さんの『伝わる力』という本があります。その中の「ただ、ひとことで」からです。
こんな嬉しいことがあった。よく行くコーヒーショップで、いつものようにコーヒーを買って帰った。コーヒーを飲もうと思い、ふと紙コップに目をやると、何やらいろいろとマジックで書いてあった。それは、オーダーを受けた店員が、オーダーを言葉にするのと同時に紙カップに書き留め、コーヒーを淹(い)れる係に渡し、間違いないようにコーヒーを作るオーダー表でもあった。何やらいろいろ、と書いたのは、それは客にはわからない記号のようなものだからだ。しかし、よく見たら、何やらいろいろの横にニコニコマークが描いてあり、そして「Thanks!」という文字も書いてあったから驚いた。ニコニコマークはスタッフ同士のコミュニケーションサインかもしれないが、小さく書かれた「Thanks!」は僕あてに書いてくれた気がした。いや、そうに違いない。
とても嬉しかった。もしかしたら今までに何度も紙カップに「Thanks!」と書いてくれていたかもしれない。それに気づかなかった自分が恥ずかしくなった。よく見なければわからないところに一手間かけて、感謝の言葉を書いてくれるなんて…と、考えるほどに、じんわりと感動が染みてきた。それは仕事とはいえ、自分が他人にしてもらったら嬉しいことはなんだろうと、いつも考えている、その店員の気持ちの表れだと思った。なんて素晴らしいことだろう。僕はほんとうに嬉しかった。
たったひとことの言葉で、僕はあたたかい気持ちになった。そして大切なことは何かを教えてもらった。いつもありがとう。
ちょっとしたことです。ちいさなことです。ほんのわずかな時間です。でもその一言、その一手間が嬉しいのです。
私たちの仕事においても、こちらが何気なくしたことに対して、わざわざ、足を運んで尋ねてきてくれて「昨日は相談に乗ってくれてありがとうございました」「昨日は資料をくださってありがとうございました」「ご配慮いただいてありがとうございました」と、昨日もお礼をきちんと言ってくださったのに、改めて言いにきてくださる先生方がいます。また、私はたいしたことはしていないのに、私の机に、お礼の言葉やコメントの書かれた付箋やメモとともにお菓子などを置いてくださる先生方がいらっしゃいました。本人にとっては、ちょっとしたこと、当たり前のことだと思ってされているのかもしれませんが、私としては、とても嬉しくこちらがありがたい気持ちになります。そして、私自身もそういう気づかいができるようになりたい、そういう気配りを心がけなければと学ばせていただきます。
子どもであっても大人であっても互いに感謝の気持ちをもつこと、そして、その感謝を表す一言、一手間を惜しまない行動をとることができれば、よりよい人間関係の中で毎日過ごすことに繋がっていくのではないでしょうか…