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【6月27日】素直さ・環境・ハングリー精神

公開日
2023/06/27
更新日
2023/06/27

校長のひとりごと

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』から、「プロフェッショナル」というテレビ番組でも取り上げられた、カリフォルニア大学サンフランシスコ校外科学教授の佐野俊二さんの言葉です。

 僕がいつも思うことは、医者の世界というのは野球と一緒で、ナチュラルタレント(生まれついての才能)のある人間はたくさんいるんですよ。「こいつは才能がある」とか「こいつは手先が器用だ」とかいうのはいっぱいいる。だけど実際にその中で、本当にいい心臓外科医になっているのはほんの一握りですよね。野球でも十年に一人の逸材とか言われる選手が毎年のように出てくるじゃないですか。でも、その中のほとんどは一軍にも入れない、スターにもなれない。なぜそうなるかと言えば、才能があっても努力しないからですよ。自分に才能があって、何をやってもピッとできてしまうから、それ以上の努力をしなくなるんです。やはり伸びる人間というのは、性格がいいと僕は思うんですよ。それなりの才能があって、なおかつ人の言うことを何でも聞いて、もっと努力しようとする。それっていうのは、素直な人間でないとできないでしょうからね。
 あとは自分をどんな環境に置くかだと思います。僕がいたメルボルン大学王立小児科病院には、世界中から選りすぐられた連中が来ているわけですよ。しかも彼らの多くは隠れた努力をしていました。その一端を垣間見た時に僕は思いましたね、「このままだったら、自分はどう考えてもこいつらに太刀打ちできんわ」って。
 やはり世界に出ると自分よりできる人間はいっぱいいることがわかりますから、そういうところで揉まれたほうがいいですね。…才能プラス環境ですよ。
 あと一つはハングリー精神、満たされた連中は、やっぱり努力しない。一所懸命やっている人間は、いろんな意味で苦労をしていますよ。僕自身も、「先生はいいですよね、ラッキーで」って言われます。でも、その時に選ばれるだけの努力を私はちゃんと示してきた。引き立てられるというのは、それだけの努力をして、それが認められたことになるのだから、そういった地道な努力をするというのはすごく大事やね。

 中体連の大会が始まり、大会会場で子どもたちの頑張りを見ていると、やはり、頑張る姿というのは本当に素晴らしいと思うし、子どもたちが輝いているなと心から思います。それと同時に、コロナ禍になったときに、大会どころか練習すらできない状況などを思い返すと、大会自体ができることがありがたいし、保護者の方、関係者の方をふくめたくさんの方のおかげで大会ができていることを幸せに思います。残念ながら敗退し引退となった3年生も、これから上位大会に進む3年生も、ここがゴールではないし、長い人生の中で貴重な経験を積んでいるのだと思います。○○というスポーツ(スポーツだけではありませんが…)を通して、頑張ることの素晴らしさ、諦めない気持ちや継続することの大切さ、仲間と協力することの大切さ、たくさんの人に支えられていることの感謝など、人として大切なことをたくさん学んで、人としても大きく成長しているのだと思います。
 誰しも自分自身ではわからない可能性があります。佐野さんがおっしゃるナチュラルタレントもあるでしょう。しかし、それだけで大成しないことは、様々な世界で活躍されている多くの方々が証明しています。そういう方々は皆、人並み外れた努力をされています。それと同時に「人として素晴らしい」と人間性について語られることがよくあるはずです。やはり、素直さや謙虚さをもって学び続け、人のせいにせず、目標をもって努力し続けることが大事なのだと思います。子どもたちには、自分の可能性を過小評価せず、努力とチャレンジを続け、困難を乗り越えながら、可能性を広げていってほしいと願います。