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【10月19日】私の母[その4]

公開日
2023/10/19
更新日
2023/10/19

校長のひとりごと

(※10月18日の「ひとりごと」の続きです)
 母の「初七日」が終わり、大切な合唱の後半の取組に一緒にいてあげられなかった私は申し訳ない気持ちで学校へ行きました。合唱コンクールは明後日に迫っていました。しかし、子どもたちは私をあたたかく迎えてくれました。私のクラスの子ども達の1週間分の生活ノートには、私に対するたくさんの優しいメッセージが書かれていました。

◆先生は、コンクール本番来られないかもしれないけど、先生の「心」に届くような歌を歌えたらいいなと思っています。
◆先生の心を温めてあげられるような歌をつくりあげます。
◆先生の暗い気持ちを一気に吹き飛ばして明るい気持ちになれるくらい歌いたいです。
◆先生が悲しくなるような、後悔するような合唱は絶対につくりません。お願いですから、先生は、自分自身を責めるようなことなどしないでください。そのためにも頑張りますので、それだけはやめてください。合唱のことを通し、たくさん先生から学びました。それだけで十分だと思います。先生から学んだことを生かし、素晴らしい合唱をつくりあげます。絶対に!!
 
 職員室で子ども達の生活ノートや班ノートを読みながら涙が止まらなくなりました。その日の午後からの合唱練習に、私は久しぶりに入りました。教室に行くと、合唱隊形に並び静かに私を待つ子どもたちがいました。すると、実行委員の子が、
「先生が休まれている間、私たちのクラスの練習はなかなかうまくいきませんでした。ケンカもしました。でも、話し合いもして、他の先生方にも入ってもらい、みんなの意識も変わり真剣に練習に取り組むようになりました。まだまだ不十分だけど、今から先生に私たちの合唱を聴いてほしいです。先生のために心を込めて歌うので聴いてください!」
 子ども達の顔は真剣そのもの、そして全身で私に伝えようとしていることがわかる合唱でした。子どもたちのその一生懸命な姿に、私は感動して涙が溢れて止まらなくなりました。子どもたちの優しさ、あたたかな思いに、ただただ感謝でした。
 2日後、合唱コンクールは無事終わりました。私のクラスの合唱は、何の賞もとれませんでしたが、私にとっては子どもたちの愛が詰まった最高の合唱でした。合唱コンクール後の子どもたちの感想や保護者の方のメッセージには、たくさんの感動や感謝、溢れる思いが書かれていました。

◆やっぱり、一番心に残っているのは今のクラスで歌えたことです。本当に金賞をとれなかったのはすごく悔しい。でも私達のクラスは金賞よりももっと素晴らしい何かを手に入れたのではないかなと思います。このクラスでステージに上がれたこと、精一杯誰かのために歌えた事、ただそれだけで私は満足です。本当にいい合唱コンクールだったと思う。このクラスで歌えたことは決して忘れません。今の仲間に出会えた事、藤井先生に出会えた事に感謝し、すべてに感謝し、これからも精一杯楽しんでいこうと思う。今年も最高の思い出になった。本当に本当にありがとう。(2年5組生徒)
■合唱コンクール、感動しました。本当にどのクラスも甲乙つけがたい位素晴らしかったです。入賞こそできなかったけれど、皆で全力尽くして頑張ったことはきっと「賞」以上に皆、素敵なものを得たと思います。私もパワーをもらいました。先生もお母さまを亡くされ本当に大変だったと思います。私も2年前の10月に母を亡くし、悲しみに暮れていました。その頃下の娘が小さかったこともあり、忙しい日々の中で時間と共に悲しみも薄れていきました。…コスモスが咲く頃になると何となく切ない淋しい気持ちになります。今を一生懸命生きて頑張っていこうと思います!!(2年5組保護者)

 このとき、子どもたちや保護者の方にどれだけ励まされたかわかりません。どれだけ「思い」をいただいたかわかりません。感謝しても感謝しきれません。私は、母のあのときの言葉をよく思い出します。
「素敵な子どもたちやね〜。あんた、こんなに素敵な子どもたちに出会えるなんて幸せやね!子どもたちに感謝しないとね!」
 子どもたちは社会の「宝」です。子どもって本当にすごいです、素晴らしいです。子どもって本当に優しいです。母はそのことをわかっていました。私は、いつも子どもたちに「感謝」することばかりです。だからこそ、子どもたちを私たち大人が大きな愛で包み、支え励まし、その無限の可能性を伸ばしてあげたいと思うのです…

(※私の母[その5]に続く)