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【10月30日】感性を働かせて…

公開日
2023/10/30
更新日
2023/10/30

校長のひとりごと

 先週の文化発表会、子どもたちは本当に素晴らしかったです。今日1時間目に各クラスで「振り返り」をして、これからの日常生活にいかしていくことを互いに確認しあったのではないかと思います。行事はそれで終わりでなく、それまでの過程、そして当日までに学んだことをいかして、これからの生活に臨むことが大切です。互いに助け合い、支え合い、さらに素敵な学級、学年、そして学校になっていくように一人一人が心がけてほしいと思います。

 さて、以前どこかに載せたことがあるような気がしていますが、『1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書』の中に、元日本ホスピタリティ推進協会理事長の橋本保雄さんの「感性を精一杯働かせて仕事をするのがプロ」を載せます。

 山の上ホテルで私がウエーターをやった時に、社長から売り上げ倍増命令が下りましてね、料理長にも、倍増のためのうまい料理を作れと。ところが職人気質(しょくにんかたぎ)でへそ曲がりなの料理長は、言われてやるのがおもしろくない。それで社長は私に、「魚河岸(うおがし)に通って、おまえが買ってきた魚をお客様に食べさせろ」と言うんです。つまり、買ってきた魚を、そのへそ曲がり料理長に頼んで料理してもらわなければならないのですが、彼は「俺はおまえに指図されて料理を作る気はないよ」と相手にしてくれない。どうすればその人の気持ちをこっちに向けさせることができるか、私は挨拶だと思ったんですよ。そして毎朝丁寧に「おはようございます」と挨拶し始めたら、最初はフンと横向いてろくに返事もしてくれなかったのが、一ヶ月たつと「おう、おはよう」なんて返事をしてくださるようになった。さらに私は、その料理長をお客様のところに引っ張り出しては、「作ったのはこの料理長でございます」と紹介したり「うまかったよ」「ありがとう」という声を直接聞かせたりしたんです。すると料理長以下どんどん真剣になってきて、売り上げも倍増どころか、四倍、五倍ぐらいになったんです。
 だから、一定のレベルで満足してしまうか、それとも一つひとつに真心を込めて、さらによいものを目指していくか。それが大きな違いになるんです。朝食も十把一絡(じゅっぱひとから)げに作るのと、ターンオーバーのフライドエッグ一つ作るのにも、どうしたら喜んでもらえるかと精一杯工夫を凝らして出すのとでは、お客様の喜びもまったく違う。そういうふうに、感性を働かせて仕事をしていくこと。私はこれがとても重要だと思いますね。感性を精一杯働かせ、お客様に喜んでいただけることを発想し、それを行動に移す。これがやっぱりプロだと思います。

 私は4月、先生方に教師として大切なことの一つに、「感性」を掲げています。感性豊かな子どもたちの教育に携わらせてもらう教師の感性が「鈍い」ようでは…と常に自分にも言い聞かせています。もちろん大前提の子どもたちへの情熱や愛情そして、教師としての専門性はもちろん必要です。しかし、この「感性」が鈍いとか乏しいようでは、子どもたちのよさに気づけない、子どもたちの小さな頑張りに気づけない、子どもたちと共に成長することが難しい…そんな気がしています。
 もちろん、私自身もまだまだ足りません。子どもたちのとても素敵な気配りや感性にいつも学ばせてもらっています。もっともっと気づく人、目配り・気配り・心配りのできる人になりたいと思っています。先生方にも「情熱」「専門性」とともに「感性」を大切にしてほしくて、先生方へのひとりごとを発行したり、時々、そんな話もさせてもらっています。
 これからもっと豊かな感性になるよう、たくさんのことを学び、様々な経験をし、自分自身を磨いていかなければと思います。先日の文化発表会のときの素晴らしい子どもたちの姿を見て、未来を創る子どもたちの教育に携わる「プロ」として、「感性を精一杯働かせたい」と改めて思わせてもらいました。