【11月8日】いま
- 公開日
- 2023/11/08
- 更新日
- 2023/11/08
校長のひとりごと
本日11月8日は、「立冬」です。1年を24に分け、季節の節目となる言葉をあてた二十四節気の19番目となります。立冬の次は11月22日の「小雪」となりますので、立冬は11月8日から11月21日までの期間ということもできます。「冬が立つ」ですから、当然冬の始まり。しかしながら最近の状況は、先週の「夏日」からやっと秋が到来かという感じではないでしょうか。ただ、来週からは寒くなりそうなので、短い秋が終わりすぐに冬が…となりそうです。
さて、『到知』の巻頭にアサヒビール社友(社員以外でその会社と関係があり社員待遇を受けている人のこと)福地茂雄さんの「時間は待ってくれない〜かけがえのない“時間”、いま生きているこの瞬間の素晴らしさ」というタイトルでこんなことが載っています(一部抜粋・省略)。
自営であれ、中小企業であれ、大企業であれ、一つの経営体を維持していく上で大切なものは、“ヒト、モノ、カネ”と言われてきました。しかし私は、“時間”と“情報”も同様に大切だと思います。“ヒト”は、自己研鑽や第三者による研修、またはその企業が必要とする人材を新規採用することによって、量も質も増やすことができます。“モノ”は、研究・開発部門の人材によって新しく生み出され、さらに機能を高めたり、また量を増やすこともできます。“カネ”は、元手を増やしたり借り入れたりすることで充足できます。しかし、“時間”はどうでしょうか。時間は誰にも等しく一日二十四時間しか与えられていません。増やすことも借りることもできず、限られた二十四時間を有効に利用するしかないのです。ことわざに「急がば回れ」とありますが、慌ただしいビジネスの現場では、回り道をする決断をなかなか下しにくい現実もあります。
経営判断の場では、“現在”はなく、“いまという過去”しかないと私は思っています。刻々と状況が変化する経営の現場では、“現在”、すなわち“いま”は、すでに過ぎ去った過去なのです。そう考えると、“いま”できる経営判断を将来に引き延ばしてはなりません。“いま”できることは“いま”決断すべきです。いまは、“いまという過去”に過ぎないのです。
私は、必ずしも立派な学歴が必要だとは思いません。問題を感じるのは「空洞化する卒業証書」、つまり、相応の学力に達していないのに安易に卒業証書を渡すことです。最近、社会に出てからの学び直しのニュースが高まっています。仕事に求められる専門知識を身につけ、自分の能力に磨きをかけることはもちろん素晴らしいことです。しかしその一方で、在学中の時間の無駄遣いについても考えていく必要があると私は思います。
学業の場は事業の場と同じで、「いま成すべきことを十分成し遂げているか」「いま成すべきことを明日以降に延ばしてはいないか」を常に問うていくことが大切です。“いま”は飛んでゆく矢の如く過ぎ去っていきます。そして二度と戻ってきません。私たちは、“いま”という時間を無為に過ごしていることでしょうか。「少年老い易く学成り難し」「一寸の光陰軽んずべからず」の金言をいま一度かみしめ、それぞれの立場で“いま”できること、“いま”判断すべきことを、明日に引き延ばすことのないよう心がけていきたいものです。
11月6日のひとりごとでも、社会に出ればどんな学校に進学したかより、「何ができるのか?」「何を学んだのか?」「何を身につけているのか?」「人としてどうなのか?」のほうがはるかに重要になると述べました。また、今求められている人材は、自ら課題を見つけ、考え他者と協働し、柔軟に対応し、粘り強く取り組める人材です。未来が予測困難なこの時代に、単なるうわべだけの知識ではダメだし、しっかりと学ぶこと、学び方を身につけることが大切だと思います。
そして、福地さんの言われる「いま」をいかに大切にするか。いまできること、いまやらなければいけないことを先延ばしにしたりおろそかにしたりせず、真剣に前向きに取り組むことが大切なのだと改めて教えていただきました。
「いま」この瞬間を生きていることに感謝し、二度と戻ってこない「いま」をもっと大切にしなければと思います。