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【12月1日】人の世の味わい

公開日
2023/12/01
更新日
2023/12/01

校長のひとりごと

 昨日から全学年の三者面談が始まりました。学校生活のこと、家庭でのこと、進路のことなど様々なことを三者で共有し、限られた時間ではありますが、有意義なものとなるよう願っています。3年生においては、進路先の決定ということで、非常に悩んでいる子どもたち、そして保護者の方もおられるかもしれませんが、十分に検討し決定してもらえたらと思います。進路説明会のときに私は、「選んだ進路先が本人にとって、本当に100%正しい選択なのかなんて誰にもわからない。しかし、自分で決め、その達成へ向け努力をする。そして進んだところで、どう頑張るかが重要だと思います…」と話をさせていただきました。そのためにも、しっかり考える、十分に悩むということはとても大切だと思います。
 松下幸之助さんの『道をひらく』の中に「心配またよし」というところがあります。

 何の心配もなく、何の憂いもなく、何の恐れもないということになれば、この世の中はまことに安泰、きわめて結構なことであるが、実際はそうは問屋が卸さない。人生つねに何かの心配があり、憂いがあり、恐れがある。
 しかし本当は、それらのいわば人生の脅威ともいうべきものを懸命にそしてひたすらに乗り切って、刻々と事なきを得てゆくというところに、人間としての大きな生きがいをおぼえ、人生の深い味わいを感じるということが大事なのである。この心がまえがなければ、この世の中はまことに呪わしく、人生はただいたずらに暗黒ということになってしまう。
 憂事(ゆうじ)に直面しても、これを恐れてはならない。しりごみしてはならない。“心配またよし”である。心配や憂いは新しくものを考え出す一つの転機ではないか、そう思い直して、正々堂々とこれと取り組む。力をしぼる。知恵をしぼる。するとそこから必ず、思いもかけぬ新しいものが生み出されてくるのである。新しい道がひらけてくるのである。まことに不思議なことだが、この不思議さがあればこそ、人の世の味わいは限りもなく深いといえよう。

 小心者の私は若いときから、もっと言えば子どもの頃から…よく悩みます。悩んでも心配してもどうしようもないことで眠れなくなったり、眠っても夜中に目が覚めて眠れなくなったり、一睡もせずに朝を迎えたり…。いつも平和で何も悩み事がなければ…とも思いますが、そんなことは決してありません。もちろん考えなくてはいけないこともたくさんあります。しかし、松下さんが言われているように、悩んだり、心配したり、考えたりすることで、新たなよい考えや課題が解決したりしていくことも事実です。そして、苦しんだこと、きつかったこと、悩んだことのほうが自分の「力」になっていると思うし、今の自分を支えてくれていると思います。
 子どもたちも当然ながら悩むこともたくさんあるでしょうが、大いに悩んでほしいと思います。悩んだ先に新たな道がひらけるのだと思います。そして、そんな子どもたちを支えるべく私たち大人や周りの仲間がいる…。「やまない雨はない」、それを信じてきついことも苦しいことも共に乗り越えていけたらと思います。