【1月29日】探究心
- 公開日
- 2024/01/29
- 更新日
- 2024/01/29
校長のひとりごと
昨日の讀賣新聞のコラム『編集手帳』に次のようなことが載っていました。
伝説のギタリスト、ジミ・ヘンドリックスには右利き用のギターを逆さに持ちかえて弾いていたとの逸話がある。昔、左利き向けにつくられるギターは皆無に等しかった。それでもレフティーであることはハンデにならず、むしろ独創的な演奏スタイルを生み出した。ポール・マッカートニーさんの左利きも有名だ。日本人では松崎しげるさんもそうだ。音楽の才は利き腕に左右されない。 コオロギの世界はまったく異なる。本紙オンラインの「右利きコオロギは歌が上手」との配信で知った。岡山県の中学生、板東郁仁君がコオロギの泣き方や羽の構造を研究したという。左の羽が右の羽の上に重なっている「左利き」と比べて鳴き声が小さい。泣いている時間も短いことがわかった。さらに、ピンセットで羽の重なりを入れ替え、右利きから左利きにすると、ほぼ全部の個体が鳴けなくなったそうだ。なぜ、左利きのコオロギは鳴くことが不得手なのか。板東君は新たな疑問が湧いてきて、さらなる研究に意欲をみせている。若い探究心の続報を期待せずにはいられない。
ちなみに、日本では“ジミヘン”として有名なジェームズ・マーシャル・ヘンドリックスさんは、アメリカのギタリストでシンガーソングライター。デビューからわずか4年ほどの活動期間しかなかったのですが、左利きながら右利き用のギターを逆さにもちかえ、そのギターテクニックと派手なパフォーマンスで多くのミュージシャンにも影響を与えました。わずか27歳で亡くなられたのですが、「ロック史上最高のギタリスト」として、今でも様々なところで評価されています。近年は少しずつ変わってきたかとは思いますが、日本社会では、9割いるとされる“右利き”が使いやすいようなつくりになっているもの、また道具も“右利き用”が多く、左利きだと不便なこともあると思います。それを左利きの方が、慣れて上手に使っている場合もあります。また、脳に与える影響、要するに右手を使うと左脳が刺激される、左手を使うと右脳が刺激される…というようなことから右利きがいいとか、両手が使える方がいいとか、様々な考えがあります。さらには、左利きの方が器用だとか、ボクシングやテニス、野球などでは“左利きが有利”といわれることもあります。しかし人間は、様々な努力や慣れ、そして“探究心”や“向上心”があれば“右利き”“左利き”関係なく成長したり、活躍していたりするのではないかと思います。
編集手帳後半のコオロギを研究する板東さん。私が感心したのはその“探究心”。疑問に思ったことを調べたい、仮説を立てて、自分で探究していくこの姿勢が素晴らしいと思います。今、求められている力が、このような力ではないかと思います。教えられたもの、与えられたものでただ満足するのではなく、未来が予測困難なこの時代に、自ら課題を見つけ、考え、自ら解決のために粘り強く努力し、まわりの人と協働して解決できるような人材、それを発信し広げていけるような人材、利他の心をもって地域や社会、世界に貢献できるような人材が求められています。
大野東中では、授業をはじめすべての教育活動で、子どもたちが主体的に学びをすするめることができる取組、自ら探究する学びを通して、“探究心”や“向上心”などを高めていくことにつながようにしていきたいと思います。