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【2月22日】次の1キロ…

公開日
2024/02/22
更新日
2024/02/22

校長のひとりごと

 将棋界では、藤井聡太八冠の話題でもちきりです。しかし、藤井八冠が今のような活躍をされるはるか前から将棋界のレジェンドとして数々の記録を作り続け、現在も活躍されている羽生善治さんがおられます。羽生さんの著書に『直感力』というものがあります。その中のページに次の言葉が載っています。

「目標は一気に課してはいけない。少しずつ積み重ねることによって、気がつけば着実に前進している。自然にできることを続けていくという健全さが必要なのだ」

 この言葉のあとに、羽生さんは次のような言葉を綴られています。
 勝った将棋と負けた将棋。どちらがより忘れられないかと問われれば、どちらもあまり覚えていない。…必要でないと感じられることはどんどん忘れていってしまう性質なのだ。
 必要なのは、前に進んでいくこと、そのための歩みを刻んでいくことだ。これからの道のりも長い。それを進んでいくために必要とされるのは、マラソン選手のような意識とでもいうのだろうか。一気にダッシュするのではなく、瞬間的に最高スピードを出そうとするのでもなく、正確にラップを刻んでいくことだ。1キロを4分で走るとしたら、次の1キロも、そのまた次の1キロも…と、同じようにラップを刻むこと。それを意識的に続けていくことだ。それには、「長い距離をずっと走り続けねばならない」と考えるのではなく、すぐそこの、あの角までを目標に、そこまではとりあえず走ってみようといった小さな目標を定めながら走るのがいいと思う。ゴールまであと200キロあると言われたら、たいていの人はイヤになる。走るのをやめてしまうだろう。しかし、あと1キロだけ、あと1キロ走れば…と思えば続けられる。この1キロ、今度の1キロ…と繰り返すうちに気がついたら200キロになっていることもあるだろう。そうなっていることを目指したい。(…後略…)

 2月20日のひとりごとで紹介した鈴木大拙氏は、「一歩一歩上がれば何でもないぞ。一歩一歩努力すれば、いつの間にか高いところでも上がっている」、本田宗一郎氏は「人間が進歩するためには、まず第一歩を踏み出すことである。ちゅうちょして立ち止まっていては駄目である」と言われました。皆さんよくご存じのイチローさんの名言にも、「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」というものがあります。羽生さんは、マラソンを例にしながら一歩一歩の積み重ねの大切さを教えてくれています。
 偉大な功績や成功を収められた方が口々に、一歩踏み出すことの重要性、小さな日々の一歩の大切さを伝えられていることが、真理なのだと思います。しかし、私たちはその小さな一歩をおろそかにしたり、先延ばしにしたり、継続ができなかったりしてなかなか成果が出ない。そして気づくとやめてしまっている…そんなこと、ないでしょうか。私は何度もありますし、何度もそうやって失敗してきました。日々の小さな一歩、日々のわずかな0.1歩でも大切にできるようにできればと思います。そのためにもやはり、目標をもつことが大切なのだと思います。