【4月16日】一隅を照らす
- 公開日
- 2024/04/16
- 更新日
- 2024/04/16
校長のひとりごと
池田光さん編著の『中村天風 折れないこころをつくる言葉』からです。
「積極的の思考こそ、闇を消す“光”である(中村天風)」
一隅を照らすもので私はありたい…
私のうけもつ一隅がどんな小さいみじめなはかないものであっても
わるびれず ひるまず いつもほのかに照らしていきたい
住友本社で常務理事を務めた田中良雄(たなかよしお:1890〜1964)の「私の願」という詩です。「一隅を照らすもの」とは、道心をもって、みずからの守備範囲を照らす人です。田中良雄は、「ささやかなる一隅であっても、もし私自身がそれを明るく照らしていなければ、その一隅が暗くなります」(田中良雄『私の人生観』)と言います。たとえ自分が受けもつ範囲が人目につかないものであっても、そこで明るく積極的に生きるなら、それは闇を消す光です。「わるびれず」「ひるまず」…そんな心の態度で一隅を照らし続けるなら、その人は絶対積極の境地にいます。
「一隅を照らす」は、比叡山延暦寺(天台宗)の開祖、最澄の言葉です。原文には「照千一隅、此則国宝」と書かれています。「一隅を守り千里を照らす、此れ即ち国宝(人材)なり」と読み、最澄が人材教育の重要性を説いた一節とされています。要するに、与えられた場所で全力を出し切り必要とされる人材になりなさい。または、たとえ小さくても目立たなくても、他にない個性や特徴、こだわりを持った姿勢や頑張りは、人としてたいへん大切で素晴らしいことであるという意味で使われています。
私たちの仕事もそうです。目立つ仕事ばかりではありません。目立たない仕事もたくさんあります。しかし、それらすべてがあるから世の中はまわっているのであり、たとえ自分が頑張った仕事であったとしても、それを支えてくださる人、協力してくださる人、直接関わらなくても大切な仕事をしてくださるからこそ、自分の仕事もできるということだと思います。
子どもたちにも時々話すことがあります。
目に見えるものだけでなく、目に見えないものを想像できるようにしたいね。そこに行き着くまでにたくさんの人が関わっていることを想像したり、その裏にある「努力」や「頑張り」などを想像したりして、多くの人やもの・ことに感謝できるような人になりたいね、と…。
「自分だけが頑張ってる」とか「自分一人で成長している」というおごりは捨て、周りへの感謝はもちろんのこと、目配り・気配り・心配りができるような人になれるようにしなければと思います。