【11月12日】エネルギー問題
- 公開日
- 2024/11/12
- 更新日
- 2024/11/12
校長のひとりごと
今朝の西日本新聞のコラム『春秋』からです。
ようやく踏み出した廃炉への1歩は約0.7グラム。史上最悪の事故から13年余り。原子炉3基がメルトダウン(炉心溶解)を起こした東京電力福島第1原発で、溶け落ちた核燃料(デブリ)のかけらが初めて取り出された。推計880トンとされる総量の十数億分の1の量だ。その放射線量は極めて高い。人間は近づけず、ロボットさえ動けなくなる。冷やすための水は「処理水」として次々たまる。取り出せたとして、どこでどう処理するのかも決まっていない。東電は最長40年の廃炉完了を掲げるが、100~300年かかるとする識者の見方も。世界でも前例のない作業のゴールは、はるか遠くにある。見届けるのは難しい。
表現者は時に予言者となる。88歳で亡くなった恐怖マンガの巨匠、楳図かずおさん。恐怖とは、人間が自分の身を守るために大切な感覚であり、本能に組み込まれていると考えていた。本能で捉えきれない新しい恐怖の代表が「放射能」だとよく話していた。代表作「14歳」は科学技術が進んだ結果、植物が全て枯れて、世界が崩壊するさまを描いたSFだ。そのテーマは「土の中にものを流し込むようになったら破滅だ」ということ、と後に語った。
現在、放射能廃棄物は地中に埋めること以外に有効な方法はない。土や海に汚れたものを次々に流し込む世を「怖い世の中になった」と怖れていた。あれほど読者を怖がらせた漫画家が。
2023年度の日本での電力供給の割合は、石油・石炭・天然ガスなどを利用した「火力発電が約66%」、「太陽光・風力・水力・バイオマス発電などの再生可能エネルギ-が約26%」、「原子力発電が約8%」と、ある資料には載っていました。
火力発電は、「エネルギー交換効率が高く、発電量が安定している」「大きな土地を必要としない」「事故の範囲が広範囲に及ばない」などの理由で、以前よりは少なくはなっていますが、相変わらず割合が大きくなっています。一方で、世界的な問題になっている「二酸化炭素を大量に排出すること」や、「燃料の供給が国内ではできないこと」「化石燃料は有限であること」などがデメリットとなります。
そこで、二酸化炭素の排出を考えると、「再生可能エネルギー」となるわけですが、「発電量が不安定」「発電コストが高額」「電力供給システムが未整備」などにより、まだ全体の4分の1程度にとどまっています。そこで足りないところを、「安定した電力供給」「低い発電コスト」がメリットである「原子力発電」となるわけです。しかし、コラムにもあるように「使用済み燃料の処理」「事故発生時の被害の大きさ」を考えると…。
私たちの生活に電気は欠かせません。電気のない生活は考えられません。まだまだエネルギー問題に関しても不勉強でよくわかっていない私ですが、少しでもこの問題を考え、自分ができる小さな「省エネ」をしていくことが、エネルギー問題解決への小さな小さな一歩になるのではないかと思います。なかなかそれすらもできていない自分を反省しつつ、これからも考えていきたいと思います。