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【2月17日】信じる

公開日
2025/02/17
更新日
2025/02/17

校長のひとりごと

 昨日の西日本新聞の11面に、“テーマ「入試シーズン」”との見出しで、不安、焦り、落胆、喜び…乗り越えた「先輩」たちと記事がありました。その中から抜粋します。


 「どうしよう…」。高校受験を目前に控えた2年前の冬、福岡市の月守望友さん(17)は志望校を変更するかどうかで途方に暮れていた。目標は難関の県立福岡高。通っていた兄がいつも楽しそうに高校生活のことを話していて、小学4年生の時に「自分も行きたい」と思った。そこから志望校に定めて学習塾に通ってきたが、安定していたはずの成績が、中学3年の冬になって合格のボーダーラインまで下がってしまった。焦りを募らせたのは、それだけではない。中学の仲良し4人グループのうち、自分以外の3人は私立校の専願入試と公立高への推薦で早々と進学先を決めていた。推薦で福岡高に内定した友人もいて、「春からは同じ高校だね」と喜び合う声も周囲から聞こえた。「自分はまだ決まってないのに…」。重圧に押しつぶされそうだった。

 そんな状況を見かねた母は「志望校を変えていいよ」と口にした。目標を変えたくはない。でも、合格の自信はない。母の言葉に感情が揺れ、たびたび口論になった。食事は喉を通らなかった。母と兄、塾の先生を交えて話し合った結果、予定通りに挑戦するという最終決断をした。「絶対に行きたい」という心の声に従うことにした。ただ、その後もあまり成績が上がったという感触を得られないまま入試の日となる。最初の科目は国語。「難しい…。終わった」。苦手にしてきた国語が足を引っ張り、全科目を終えた後も手応えはなかった。

 合否の発表は、自分で見るのが怖くて兄に確認してもらった。結果は「合格」。信じられず、本当なのか何度も確かめた。母と抱き合って喜んだ。6年越しの目標がかなった瞬間だった。高校2年になった今、当時を振り返る。「大切なのは自分を信じること」。受験を通し、決断する力が身についたと思う。


 福岡県では、私立高校の専願入試で1月中に合格通知をもらう子、公立高校の推薦入試や特色化選抜入試で合格内定をもらい、すでに進学先が決定している子どもたちがたくさんいて、3月5日に実施される「公立高校一般入試」を受ける子どもたちが以前より少なくなっています。月守さんと同じように今、とても不安で気持ちが揺れ動いている人もいるかもしれません。でも、最後の最後まで諦めず、自分を信じて努力し続けるしかありません。

 そういえば、先日の夜中、たまたまテレビをつけると「ドラゴン桜」というドラマの再放送があっていました。私は以前、観たことがあったのですが、思わず引き込まれるように観てしまいました。ご存じの方がどれだけおられるかはわかりませんが、もともとはマンガで、阿部寛さん扮する元暴走族の弁護士・桜木建二先生が平均偏差値36の高校生を東京大学に現役合格させるというものです。その型破りな言葉や方法は、実際にはかなり「ハラスメント」や問題となるようなことかもしれません。しかし、桜木先生の力強い言葉の中には、子どもたちを信じ、応援する本当の優しさが伝わってきて、何度も感動させられました。「おまえたちはできる!きっとできる」「すべては自分次第だ!」…と自分を信じることの大切さ、そして子どもたちの無限の可能性を訴えます。親にも、「うちの子はできない…と、決めつけているでしょ?それが子どもを駄目にするんです。まずは、子どもを信じたらどうですか!」と、叱りつけます。桜木先生は、時に子どもたちにひどい言葉もいいますが、どんな子どもたちも決して見捨てない。子どもたちの気持ちや置かれている状況をしっかりと理解し、自分が何ができるかを考え行動する。それによって、反発していた子どもたちが桜木先生の本当の優しさや支えに気づき、信頼していく。「マンガだから…」「ドラマだから…」と思うこともありますが、私たち大人が忘れてはいけないこと、大事にしなければならないことを思い出させてくれるような気がします。

 大野東中にも3月の公立高校の一般入試受験をはじめ、最終の進路先が決まっていない子どもたちがいます。周りの友だちは進学先が早くに決定し、焦りや不安でいっぱいで、きつい思いをしている子どもたちがいるだろうと思います。それでも子どもたちには、自分を信じて、粘り強く取り組んでほしいと思います。私たちは、その子どもたちを信じて応援するしかありません。私たち大人ができることを考え、最後の最後まで精一杯に応援し、支援していきたいと思います。

 どこに進学しようと、どのような職に就こうと、どのような道へ進もうと…どのように歩いていくかがもっとも大切なことだと思いますから…