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【6月5日】会話

公開日
2025/06/05
更新日
2025/06/05

校長のひとりごと

 政治・教育ジャーナリストの清水克彦さん著、『知って得するすごい法則77』の「7対3の法則~会話は相手が7割」からです。


 これは著者が提唱する対人コミュニケーションの法則です。

 長く担当してきたラジオ番組では、毎日、政治家や文化人、経営者やアスリートなど、さまざまなジャンルのゲストをお迎えしてきました。そのほとんどが初対面の方なのですが、聞き手である筆者とゲストが、「5対5」の割合で会話をしてしまうと、

「ラジオは、テレビよりも話す時間がたっぷりあると聞いていたのに、あまり話ができなかった」

 相手は、このように消化不良の状態で帰ってしまうことが多々あります。しかし、筆者が、文字通り聞き役に徹し、たとえば10分間のコーナーで、相手に7分程度語らせれば、「やっぱり、ラジオはいいね」と満足した表情で帰ってもらえます。これが、筆者の言う「7対3」の法則です。

 聞く側は、まず傾聴に徹し、「こちらが話す部分は、相づちを含めて3割程度」に抑えておけば、相手の緊張や警戒感が解け、「これも話したいな」「あの話もしちゃおうかな」と、心の扉がどんどん開いていきます。相手に気持ちよく話してもらい、「話しやすかった」と満足してもらうほうが、結果的には、筆者や筆者が担当する番組にとってプラスになります。

「次回は、清水さんの話も聞かせてください」

 こんな言葉が出れば大成功です。とはいえ、「9対1」ではなく「7対3」なのは、自分の意見やモノの見方を披露しなければならないときは披露すべきだからです。相手の話に全面的に迎合したり、「おっしゃる通りです」という姿勢を見せ続けたりするだけでは、相手からすれば物足りず、相手が「大物」であればあるほど、軽んじられてしまいます。傾聴しつつも言うべきことは言ったほうが信頼度は高まります。だから「3」の部分も大切なのです。


 誰と話す場合も常に「7対3」がいいのかは別にして、私たち教師は、ある意味「話すこと」が仕事でもあります。子どもたちとも教育相談や日常的にも様々な会話をします。そのとき、ついつい私自身がしゃべりすぎて子どもたちの言葉を十分に聞くことができなかった…という反省が何度もあります。すぐに言葉が出ない場合にもじっくりと待つこと、こちらが先走って「○○ということだよね?」と勝手に解釈したりまとめたりする…これでは子どもたちは、なかなか話したいことも話せなくなってしまいます。

 永松茂久さんの『人は聞き方が9割』という著書でも、コミュニケーションをとるときに「話す力」「話すこと」ばかりにとらわれるのではなく「聞き上手」になることが大事であることが書かれています。相手の話をしっかりと聞き、「共感」「うなづき」「傾聴」しながら、その中で、自分の考えを伝えたり、助言をしたりすることがよいのだろうと思います。

 場面によっては、相手の話を十分に聞かず、自分がしゃべりたいことばかりをベラベラと話す自分を振り返りました…


(ひとりごと 第1031号)