【9月30日】中庸
- 公開日
- 2021/09/30
- 更新日
- 2021/09/30
Kのつぶやき
9月最終日となりました。昨日保護者の皆様にはプリントでもお知らせしましたように、10月1日からは学校の時制等は通常に戻していきます。もちろん、今後の教育活動については感染対策は引き続き行っていきながらとなります。部活動についても、明日からは、文化部も含めすべての部活動が再開となります。活動を待ち望んでいた子どもたちにとっては「やっと・・・」という思いがあると思いますが、また目標をもってひたむきに取り組んでほしいと思います。
さて、阿川佐和子さんをご存じですか?以前は「筑紫哲也のNEWS23」のキャスターとして、今年放送は終了しましたが「さわこの朝」という対談番組、さらには現在も放送されている「ビートたけしのTVタックル」のアシスタントとしても活躍されています。その絶妙なつっこみやコメント、相手の言葉を引き出す聞き方に感心させられます。
阿川さんが2012年に出された『聞く力』は年間ベストセラーになりました。阿川さんが、週刊文春の「阿川佐和子のこの人にあいたい」に連載された数多くの対談や様々な経験を通して感じたことやエピソードが書かれています。そのあと出された『叱られる力(聞く力2)』も厳しかった阿川さんのお父さんとのエピソードをはじめ、自分の経験をわかりやすく書いてありました。阿川さんは、相手のコミュニケーションを上手にとっていくときや相手の言葉を引き出すときにはやはり「聞く力」が大切だと感じてあったのだろうと思います。ある方は、それを“受信力”と表されていました。それもコミュニケーション能力の大切な一つだと。以前紹介した永松茂久さん著の『人は話し方が9割』でも、実はコミュニケーションや話し方で大事なのは「聞き方が9割」なんだと書かれています。阿川さんの本も永松さんの本もとても読みやすいので、まだ読まれてない方は一度読まれてみてはいかがでしょうか。
話を戻しますが、『叱られる力』のあとがきのところに「喜怒哀楽」のことについて書かれています。「喜怒哀楽」という言葉が出てくるのは儒学の四書の中の「中庸」だと言われています。これによると「喜怒哀楽は、外部からの刺激により起こるものであり、そのような気持ちが起きても、節度をもってその気持ちを収め“中庸”(ちゅうよう:偏らずちょうどいい状態)の気持ちに戻すことが大事なのだ」ということです。しかし、阿川さんは言います。二千年以上も前から人間は感情のコントロールに苦しんでいたわけで、私ごときが簡単に解決できるようなものではないと。以下、阿川さんの言葉。
確かに人は、成長するに従って感情をコントロールするように教育されてきました。かくいう私も常日頃より、尊敬する大人とは、何があっても騒がない、慌てない、カッとならない、泣かない人のことだと信じています。そういう人になりたいと、願い続けて六十年。ちっとも精進できない自分をつくづく情けなく思います。精進するどころか、もしかして退化していると感じられることさえあります。人間が歳をとると丸くなるというのは嘘じゃないかと思いほど。騒ぐ、慌てる、カッとなる回数は歳とともに増え、最近は涙腺周辺の筋肉老化のせいかドラマの予告編を見ただけで涙があふれてくる。もう少し平然としていられないのかね、アガワ君。自分にいくら言い聞かせても、感情コントロールは至難の業です。・・・
昨日のひとりごとに、本校卒業生からの素敵なお手紙のお話を載せました。そんな優しい気持ちを持ちたいと心から思った私です。一方で、阿川さんが書かれているように、ちょっとしたことに憤りを覚え、“中庸”でいられない自分がいます。しかし、その「あとがき」のところを久しぶりに読みながら改めて共感し、やはり「喜怒哀楽」も大事なのだと思ったのでした。人に迷惑をかけるようなことはいけないと思いますが、常に感情を押さえ込んで、心が病んだり、自分自身でいられないような気持ちになるのもどうかと思います。時には、“中庸”ではないような感情が新たなエネルギーを生むこともあるし、前に進む原動力にもなるのだと私は思います。まだまだ未熟な私は常に“中庸”でいられることはありませんが、それでも阿川さんと同じようにそうありたいと思うのです。