学校日記

【12月9日】子どもって素晴らしい!

公開日
2021/12/09
更新日
2021/12/09

つぶやき

 昨日、私のひとりごとをいつも読んでくださっている方から
「校長先生、この間の話も感動しました!」
と言われました。
「どの話ですか?」
と尋ねると、
「お父さんを亡くした子の話です」
と教えてくれました。実は、あの話は後日談があります。

 お父さんを亡くして数日しか経たない中学3年生が「先生、お忙しい中、寒い中来てくださってありがとうございます」そして、続けて「先生…寒くないですか?」と私を気遣うこんな言葉を自然にかけられるなんて…。さらに、家にお邪魔させてもらい、お父様の遺影に手を合わせたあと、お母様がこんなことをおっしゃいました。
「先生、今日はわざわざ来ていただいて本当にありがとうございました。息子もたいへんショックを受けているとは思うのですが、気丈にふるまってくれています。そして、昨夜も父親の遺影の前で何かブツブツ言っているので、後ろからそっとのぞくと、タバコ好きの主人だったものですから、息子は、タバコをお供えして、『ほら、お父さんの好きなタバコだよ。ゆっくり吸っていいよ…家のことは心配いらないからゆっくり休んでね!お父さん、今まで家族のためにいっぱい頑張ってくれたから…母さんのことは心配しなくていいから。今度は俺が支えるから…』。そんなことを言ってたんです。こんなにもこの子が成長したんだって親として嬉しくなりました…」
 涙ながらに話されるお母様の話に、私まで涙が止まらなくなりました。
「先生、俺、明日から学校行きますから!」
と笑顔で言う彼に
「いやいや、もう少しだけ休んでゆっくりとお父さんのそばにいてあげて。」
そう私は言いました
 そして次の日、昨日のことをクラスの子どもたちに話しました。大切な親を亡くすという悲しみの中、家族への深い愛情や両親への優しい言葉かけ、そして私にもあれだけの気遣いをする彼の言動をみんなに知ってほしいと思ったのです。私の話を聞きながら泣いている子もいました。
「彼が登校したら、またみんなであたたかく迎えよう!そして入試が迫って、きついときだけど、みんなで励まし合って乗り越えよう!」そんな話をしました。
 その日の帰りの会が終わり、「さようなら」の挨拶をしようとしたとき、一人の生徒が
「先生、○○くんのところにお参りに行ったらダメですか?」
というのです。迷惑になってはいけないと、子どもたちを少しだけ待たせて、彼のお母さんに電話で確認をして了解をとりました。
「では、行く人は17:30に○○に集合して。先生がそこに待っているから、一緒に行きましょう!ただし、習い事がある人もいるし、それぞれの事情があると思うのでくれぐれも無理はしないこと」
 そう告げて集合場所に待っていました。17:30…私は、驚きました。なんと、クラス全員が集まったのです。私は、全員が揃うという光景に胸が熱くなりました。その気持ちを抑えつつ、彼の家に向かいました。全員が礼儀正しく挨拶し、きちんとした態度でした。クラスのみんなから声をかけてもらった彼は、とてもうれしそうでした。そして、お母様はこう言われました。
「先生、うちの子は本当に恵まれています。こんなに素敵な友達に囲まれ、こんな素敵なクラスにいれていただいて…先生にも心から感謝いたします」
 子どもたちの姿、そしてお母様の言葉に、私は子どもたちのことが誇らしくてたまりませんでした。子どもたちの素晴らしさとその力に私が感動しました。

 子どもって素晴らしい!といつも思います。そして、その柔らかで素敵な感性や素晴らしい言動に、私たち大人が見習うべきことがたくさんあると思っています。