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【9月29日】ポリアンナ

公開日
2025/09/29
更新日
2025/09/29

校長のひとりごと

 9月27日の朝刊1面の下欄に大きく本の宣伝が載っていました。その本は、私が以前紹介した清水克彦さん著『知って得する、すごい法則77』というものです。久しぶりにその本を手に取りました。その中の「ポリアンナ効果」について書かれているところを紹介します。


 心理学用語の一つに、「ポリアンナ効果」という言葉があります。否定的(悲観的、後ろ向き)な言葉よりも肯定的(楽観的、前向き)な言葉の方が大きな影響を及ぼすというものです。現代風にアレンジすれば、SNS上ではネガティブな言葉よりもポジティブな言葉のほうが大きな影響を与えやすい、ということになるでしょうか。

 「ポリアンナ効果」は、1913年、アメリカの作家、エレナ・ホグマン・ポーターが書いた小説が由来となっています。主人公の少女、「ポリアンナ」が、苦難や悲劇に遭いながらも、「良いこと探し」をすることによって、明るく前向きに逆境を乗り越えていくという物語です。

 1964年、効果について提唱したアメリカの心理学者、チャールズ・E・オスグッドは、「書かれた言葉では、肯定的で楽観的な言葉の方が人の心を動かしやすい」と説明しています。もちろん、身の回りで大きな問題が生じているにもかかわらず、良いところしか見ないというのは考えものです。問題の先送りにつながりかねません。ただ、「ポリアンナ効果」をうまく使えば、男女間だけでなくビジネス面でも、対人関係の円滑化が期待できます。

 著者の場合、60歳で定年延長・再雇用問題に直面した際、転職を選択し、大学教授になりました。新しい人間関係と仕事内容は不安でしかありませんでしたが、

「清水先生に来てもらえてありがたいです」

 他の教授陣や職員から届くメールの文面を見て、勇気と元気をもらえました。対象が、気になる異性であっても、職場の同僚であっても、文字として形に残るメールやLINEでは、肯定的で楽観的な言葉を並べるようにしたいものです。

「大丈夫!。〇〇さんならきっとできる!」

「いつも応援しています。頑張ってくださいね」

 単純なワードではありますが、こんなメッセージが良い人間関係をつくるのです。


 前向きな言葉、ポジティブな言葉や気持ちは、いろいろな方も言われるように非常に大切です。「アフォメーション」という言葉もずいぶん前に紹介しましたが、これは「なりたい自分や理想の未来、目標を達成した姿などを肯定的な言葉で表現し、繰り返し自分自身に語りかえることで実現できる自己暗示・自己変革」です。このように、言葉が人間に及ぼす影響は非常に大きく、言葉によって、前向きな行動に変わったり、目標達成に近づいていくような姿になっていったりするということです。「どうせ、私なんて…」「私には無理…」…、そんなネガティブな、後ろ向きな気持ちは、自分自身をマイナスの行動へと導くことにもなりかねません。だからこそ、私たちは、自分自身に対してもそうなのですが、人のよいところを見つけそれを言葉にして伝えていくことが大切なのだと思います。

 私たちの目の前にいる子どもたちには「無限の可能性」があります。私たちの想像を超えるくらいに伸びていきます。だからこそ子どもたちが前を向いて頑張れるように「きっとできる!必ずできる!もっとできる!」「あなたなら大丈夫!」…そんな言葉を感謝の気持ちとともに、たくさん伝えてあげられる私たちでありたいと思います。それは直接の言葉であれ、文字であれ同じことだと思います。


(ひとりごと第1082号)