【9月27日】学び続けるには
- 公開日
- 2024/09/27
- 更新日
- 2024/09/27
校長のひとりごと
日本教育新聞に「“学び続ける”には」というタイトルで、東京学芸大学准教授の末松 裕基さんの言葉が載っていましたので紹介します。
人が何かを学ぶときに、その動機やきっかけ、学習内容が重要になります。しかし「学び続ける」ということが最も難しいとも感じています。
年度当初など環境が新たになったときに「何か始めてみよう」と考えることがあるかと思いますが、いっときすると日常の忙しさに追われて、せっかく始めたことを遠い昔のことのように感じることもあるのではないでしょうか。「続ける」ということをどのように考えていけばいいのでしょうか。
卓球世界選手権で後進育成に活躍する木村興治さんは「体力トレーニングは砂を毎日10粒ずつ落とすようなもの。たとえ10粒ずつでも、一年たてば砂山の裾野は広くなります」と述べます(「新線蹤録 秋田高校を飛び立った俊英たち」春風社)。
含蓄に富む言葉です。木村さんはスポーツはコツをつかむと突然階段を一つ上がったように向上する点が面白いとし、「その時が訪れるまで、基礎体力を養いながら忍耐強く待つべき」と指摘します。そして「高い山を築くには広い裾野が必要だし、体力がついて初めてつかめることもある」として、培った体力がここ一番の勝負どころで生きると言います。一日10粒と考えると余裕を持てますし、たった10粒だからこそ、一つ一つに丁寧に向き合っていくことの重要性を教えてくれます。
また、作家の大江健三郎さんは20代からほとんど毎日小説を書き続けた生活において「根本的な習慣として身についていた知恵は、とくに長編小説の場合、その日のうちに自分の小説の井戸を汲みつくすまで書くことはしない、ということだった」と述べます(「言い難き嘆きもて」講談社文庫)。「井戸の底に、わずかな光を照り返すほどの水を汲み残しておくこと。そうすれば、翌日、そこから自然に書き続けることができるはずだ」とします。
学習には必ず停滞期が訪れますし、実はその過程でつかめることもたくさんあります。焦らずに、自分にはとことん期待し続けることが大切になると思います。
「ちりも積もれば山となる」「継続は力なり」とか「千里の道も一歩から」の言葉があります。また、イチローさんの言葉「小さいことを積み重ねる事が、とんでもないところへ行くただひとつの道」など、小さなことの積み重ねの大切さ、継続することの大切さを伝える言葉はたくさんあります。しかし、学ぶことであれ、スポーツであれ、どのような面においても、これがなかなか難しい…。
夏の間、思い切りさぼっていたウォーキングも、最近少し涼しくなってきましたので、頑張らなければと再開したばかり。継続は力なり、千里の道も一歩から…砂山の裾野を少しでも広げられるように、自分に言い聞かせて頑張りたいと思います。