【9月20日】生かされている
- 公開日
- 2023/09/20
- 更新日
- 2023/09/20
校長のひとりごと
先日から何度か載せた、プロの司会者、鹿島しのぶさんの著書『小さな感謝』からです。その中の「私たちは“生かされている”」です。
お坊さんの法話を聞いていると、よく「私たちは生かされているんですよ」という言葉が出てきます。それを聞くたびに、私は「そのとおりだな。本当にみんな支え合って生きている。ひとりでは生きてはいけない。だから、まわりの人への感謝を忘れてはいけないな」と思います。
私たちは、いま生きていることを当然のように受け取っていますが、よくよく考えてみれば、80億人もいる人間にひとりとして同じ顔をした人はいません。一人ひとりの顔はみな違っていて、それぞれ、個性を持って生きています。これは壮大な地球の歴史の結果です。現在、地球にはおよそ870万種の生物がいるといわれていますが、そもそも生命が誕生したのはおよそ40億年前のことだとされています。その生物の遺伝子が受け継がれ、多くの生物種が誕生や滅亡を繰り返し、想像もできないほど長い時間を経た結果として人類が誕生しました。私たちは、それらの生物すべての子孫であり、およそ70兆通りの染色体の組み合わせによって、独立した個として存在しているのだそうです。
そうした事実を考えれば、「いま、私が私として存在していること」はまさに奇跡といってもいいでしょう。その後、人類は社会を形成し、文明を発達させることで繁栄してきました。先進国ではかつてのように餓死を恐れる必要はなくなっていますし、必要なものを大量に生産する能力も手に入れています。でも、それは多くの人が協力し合っているから可能になっていることです。お互いに依存し合い、共存しているからこそ、豊かな生活を送ることができているのです。それを考えれば、「生かされている」という言葉の意味もはっきりとわかってくるでしょう。だから、お坊さんは、「私たちは生きているのではない。生かされているんだ。だから感謝の心を持たなければいけない」とことあるごとに諭(さと)してくれているのです。
ついつい自分の力だけで「生きている」と勘違いする私。たくさんの「ひと」のおかげ。たくさんの「モノ」のおかげ。たくさんの「こと」のおかげ…そんなことに感謝が必要だということを教えてくれています。おごり高ぶり、謙虚さを忘れ、感謝を忘れてしまえば、きっと周りも離れていきます。鹿島さんは、上の言葉のあとにこんな言葉を引用されています。
◆小さなものに感謝しなさい。そうすればあなたは多くのものを得るだろう(ナイジェリアのことわざ)
◆感謝を表現する言葉や行動からはけっして逃れないよう自分自身を鍛錬しなさい(ドイツの医師、アルベルト・シュヴァイツァー)
そして、
「私たちの豊かな生活は、多くの人々の犠牲の上に成り立っているのです。私たちはそれを忘れることなく、シュヴァイツァーにはなれないまでも、感謝し、感謝される人間になることを目指し、こうした問題(世界での飢餓人口が8億2800万人もいることなど)を少しでも解決するよう努力するべきだと思います」
と綴っています。
大切なかけがえのない命…奇跡で生まれたすべての人の命…その命を互いに大切にすること。そして命をいっぱいに使って、誰かのために、人のために役立つことができればと思います。私たちは「生かされている」…しっかりとかみしめて、毎日を精いっぱいに生きたいものです。
ところで…子どもたちの体調はどうかな。元気かな。勉強は進んでいるかな…。明日からいよいよ「前期期末考査」。子どもたちの頑張りを期待しています。