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【11月1日】アナログ

公開日
2023/11/01
更新日
2023/11/01

校長のひとりごと

 本日、3年生の子どもたちにとって、中学卒業後の進路を決定していくときの貴重な資料となるテストが行われました。子どもたちは、本当に真剣にテストに取り組んでいました。
 体育祭、文化発表会という2大行事を成功させ、日常生活においても1・2年生の憧れとなるような頑張りを見せてくれた3年生。これからは自分自身の進路実現へ向けてひたむきに努力していかなければなりません。多くの子どもたちにとって初めての「入試」をほとんどの子が経験することとなります。一人で勉強していると、苦しくなったり投げ出したくなったりすることもあるかもしれません。そのときは、友達の顔を思い浮かべて、「きっと○○さんも頑張っている!」と思って、「よし、あと10分頑張るぞ」「もう少しだけ頑張ってみよう」などと思い直し、乗り越えてほしいと思います。もちろん、学校では互いに励まし合い、助け合ってほしいと思います。そして、3月卒業式、みんな笑顔で最高の卒業式にしてもらいたい…そう願います。
 さて、今朝の讀賣新聞の「編集手帳」に次のようなことが載っていました。

 ワゴンを押して次の車両に入るとき、耳をとぎすますのは小銭の音だという。『新幹線ガール』の著者で元パーサーの徳渕真利子さんは、「車内のあちこちから聞こえる」その音に身を引き締めた。「男性の多くは、ポケットに直接小銭を入れていらっしゃるので」。乗客が何か買おうとするサインに、しっかりと笑顔と視線を返す。商品を買ってもらったのちに、返す笑顔ではない。客に飲料などを手渡す際、よく聞かれるのが富士山の見える時刻だ。むろん便により異なるが、すぐに答えられるように必ず頭に入れておく。
 東海道新幹線の車内販売がきのう限りで姿を消した。駅ナカと呼ばれる商業スペースがどんどん広がり、駅弁にしても1台のワゴンに載せきれないほどの種類が売られている。そこに「人手不足」という事情が重なったそうである。サービスは1964年の開業以来、約60億人の乗客に向けられた。寒い日や暑い日に、熱々のコーヒーやキンキンに冷えたビールに出会った思い出は星の数ほどあるだろう。富士山の時刻はスマホに尋ねますか。笑顔とともに答えの聞けるワゴンはもう通らない。

 このコラムを読んで、「アナログとデジタル」を連想しました。もともと「アナログ」とは「データを連続的に変化していく量で表すこと」、「デジタル」とは、「連続している量を一定の指定で区切って表すこと」です。
 世の中はとても便利になりました。様々なものが「デジタル化」され、大量の情報を簡単に処理し、コンパクトにまとめることができるようになりました。身近なところでいくと、わからない言葉があれば辞書などを使っていましたが、今ではスマホを使い一瞬で調べることができます。「手書き」することも少なくなり、私は時々、簡単な漢字すら書けないこともあります。そのため、字の練習も兼ねて、「筆ペン」で宛名等を書いて練習のつもりで取り組んだりしています。ChatGPT(人工知能チャットボット)なるものまで出てきて、あらゆる質問に簡単に答えてくれます(間違いもありますが…)。
 アナログなものがデジタル化されて便利になる一方、上のコラムにもあるように何となく寂しさを感じたり、変わらず残してほしいというものがあったりします。人のコミュニケーションもSNSなどのたいへん便利なツールがありますが、文字では伝わらないこともあります。そのトラブルも非常に増えています。会議や講演会などをオンラインで行うことも多くなりました。ところが、直接対面したときのような臨場感や感動は十分には伝わりません。やはり、直接のコミュニケーションの大切さを決して忘れてはいけないと思います。
 今更、デジタル化され便利なものをアナログに戻す必要はないですが、デジタルとアナログと上手に使い分けていくことが大切なのかもしれません。
 デジタルは「0」か「1」の世界。しかし、人間には曖昧なもの、微妙なニュアンスなものがあり、デジタルでは決して表せないものがたくさんあります。それらを大切にしつつ、上手に向き合っていく力が必要なのだと思います。アナログな人間だからこそ感じられるあたたかさをしっかり感じたい。日本人が大切にしてきた「わび・さび」などは、決して「0」「1」だけで表すことはできず、その間のグラデーションのようなものですが、それも大切にしたい…
 そんなことを今日のコラムから感じた私です。