【12月11日】ホスピタリティ
- 公開日
- 2023/12/11
- 更新日
- 2023/12/11
校長のひとりごと
東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドで、10万人以上のキャスト(ゲスト[お客様]をお迎えするスタッフのこと)を育てたカリスマ人材トレーナーの櫻井恵里子さんの著書に『心くばりの魔法』というものがあります。その見開きにはこう書かれています。
ディズニーと聞いて、あなたはなにを思い浮かべますか。
「夢の国」「きらめくパレード」「かわいらしいキャラクター」「スリリングなアトラクション」
きっといくつもの楽しいイメージが浮かんでくるでしょう。
そんな魅力あふれるディズニーのパークを支えている、ある「魔法」を知っていますか。
その魔法とは……「心くばり」です。
キャストの心くばりがあって初めて、ディズニーのパークは「夢の国」として存在しているのです。ここで少しだけ、魔法の正体を明かします。
心くばりとは、誰かを大切に思う気持ちの表れ。
胸の奥がじんわりとあたたかくなるようなやさしさ。
ディズニーはその魔法で、ゲストの、そしてキャスト同士のハピネス(幸せ)の輪をつくり出しているのです。
実は、私たちが住む現実の世界でも、心くばりの魔法は使えます。
そして、その魔法を使えたなら、誰からも愛される人に変身できます。
さあ、あなたの毎日を輝かせる「心くばりの魔法」を一緒に身につけてみませんか。
櫻井さんは、その著書の中で50のマジックを具体的な例で紹介してくれています。その中にディズニーのホスピタリティ(相手をおもてなししようとする心)を感じた行動の一例としてこんなことが書かれていました。それは…
櫻井さんが商品開発部にいた頃、商品に対する「お客様相談室」宛に、段ボール箱が送られてきました。箱を開けると、ダンボのぬいぐるみが入っていました。そのぬいぐるみはとても汚れ、目の一部が欠けていました。そして中には小さな女の子から手紙。「なまえははなちゃんといいます。なおしてほしいです」とつたない字で書かれていました。櫻井さんは、「同じぬいぐるみの新品を送って喜ばせてあげるのかな」と思っていたら、その担当者は、はなちゃんを洗濯し汚れを落とし、欠けた目を直し、できる限りきれいな状態にしました。決して新品同様ではなかったのですが、担当者は、はなちゃんに“入院”してもらったという内容の手紙を添えて女の子に送りました。おめめのところは治療して、お風呂にも入って、はなちゃんはきれいになりました、と伝えたそうです。
櫻井さんは、こう述べています。
ディズニーの商品は、ものの価値だけでは存在しない。パークで手に入れた時の思い出、家に持ち帰ってからの時間も宝物であるはずです。その本質を踏まえたうえで、ぬいぐるみに詰まった思いを理解し、子どもの気持ちも大切にした彼の対応は、まさにディズニーらしいホスピタリティを体現したものでした。
ホスピタリティの本質というのは「相手のために、相手の期待を超えた行動をする」というところにあると私は考えています。ホスピタリティを発揮できると、あらゆる仕事において大きくプラスに作用します。相手を感動させ、自らの評価を上げることができるからです。まずは相手の気持ちに寄り添い、その思いを理解してみましょう。ただ、突然そうなるのは難しいですから、まずは身近にいる「誰かを喜ばせる」ことから始めてみてください。
櫻井さんの言葉は、私たちの日常にも仕事にも通じるところがたくさんあるような気がしてなりません。そして、身近なところから…小さなことから…、その小さな積み重ねが、まわりを笑顔にし、幸せな気持ちにしてよりよい人間関係も生まれてくるのではないかと思います。ホスピタリティをはぐくみ、もう少し心くばりのできるような人になりたいと思います。