【3月5日】いのちの理由
- 公開日
- 2024/03/05
- 更新日
- 2024/03/05
校長のひとりごと
シンガーソングライタ−で小説家のさだまさしさんと、大和証券グループ本社名誉顧問の鈴木茂晴さんの対談が、雑誌『致知』に載っていました。さださんは、テレビにもよく出られていますし、以前このひとりごとでも取り上げていますので、ご存じの方も多いとは思いますが…。
さださんは、3歳からヴァイオリンを始め小学校でのコンクールでは高い評価を受け、有名な方から将来を見込まれます。そこで、中学校のときから単身で東京で下宿生活をすることになります。ヴァイオリンのレッスンがとてもつらいとき、加山雄三さんに憧れて趣味で始めたギターの練習をし、曲作りをはじめます。音楽高校の受験には失敗し、大学も当初目指していた藝大には行けず、別の大学へ。そこで、目標を見失い身も心もボロボロになって故郷の長崎に逃げ帰った(そのときの夜行列車に乗っていたときが、人生で一番惨めだったと語られています)。その後、同じように挫折した人と歌作りを始め、学園祭などで演奏をするようになります。父親の知り合いの作家などをされていた方に認められ、地元のテレビ局などを紹介され出演するようになって、そこからはとんとん拍子で「グレープ」というデュオでデビューされます。そして、2作目の「精霊流し」が大ヒットして、有名になられます。さださんは、昨年デビュー50周年を迎え、これまでに積み重ねてきたソロコンサートは通算4623回と前人未踏の記録を作り続けておられます。
そんなさださんが、対談で話された言葉のいくつかを抜粋します。
◆僕は二十代の時に「あいうえお理論」というのを思いつきましてね。母音って重要じゃないですか。それに「ん」をつけると、5つの大きな人生の要素になることに気づいたんです。まず「あ」は「案」、アイデアでしょう。「い」は「因」、きっかけですよね。「う」はそれを救う「運」。「え」はそれを広げてくれる「縁」。「お」はそのことに対して「恩」を感じてお返しする。よし、これからの人生は「案、因、運、縁、恩」で行こうと。
◆45歳から作る歌は、ノイローゼになっていた17歳の自分の答えになるような歌を書こうと意識してきました。(鈴木さんの「『いのちの理由』なんかはその代表作と言ってもいいのではないですか」の問いに…)あれは57歳の時の歌ですね。法然上人の八百年の大遠忌(だいおんき)にイメージソングを書いてほしいと依頼を受けたんです。「あなたらしい(さださんらしい)歌を書いてくれればいい。ただ一つだけ条件がある。十年後も誰かが唄ってくれるような歌にしてください」と。
◆僕は、これまで4623回のコンサートを重ねてきて、手抜きをしたことは一度たりともありません。「惜しむな、惜しむな」って自分に言い聞かせながら、すべてのステージは1回しかないという思いで立っています。
◆仕事はスピードが大事と教えてもらった。だから、いま起きている問題はいま解決する。「あとでいいや」「明日でいいや」と先延ばしにした瞬間にその人の動きが鈍る。だから僕は思いついたらできる限りすぐその場で行動するんですよ。誰かに電話1本する、みたいな些細なことも。「えっ、いまですか」って皆に言われますけど。でも、思いついたらいま動かなければ何も始まらないし、周りにやらせるんじゃなくて、まず自分で動かないといけない。自分の仕事を自分で探さない人は駄目ですよね。やっぱりプロとアマの差はスピードだと思います。
今回、「運命をひらくもの」をテーマで対談が行われたのですが、さださんと対談された鈴木さんがこんなことをおっしゃっています。
「これは大変だと思うような逆境や苦難でも、何があっても前向きに捉える。そういうポジティブマインドを強くもっている人がトップになっていく。そりゃ、愚痴や不平不満ばかり吐いている人に運はこないですよ。ポジティブマインドをもった人が運を掴むのだと確信しています」。
2年もの間かかって制作された「長江」(総監督:市川崑さん)というドキュメンタリー映画では、制作費がかさみすぎ、30歳手前で28億円の借金をされても、「どうにかなる」と、30年かけてめげることなく返済されたさださん。高いプロ意識で、常に手を抜かず、前向きなさださんだからこそ、運を引き寄せる。何よりその素晴らしい人柄が、詩や曲に表れているからこそ、50年以上も活躍され続けているのだと思います。
『いのちの理由』
私が生まれてきた訳は 父と母とに出会うため
私が生まれてきた訳は きょうだいたちに出会うため
私が生まれてきた訳は 友達みんなに出会うため
私が生まれてきた訳は 愛しいあなたに出会うため
春来れば 花自ずから咲くように 秋くれば 葉は自ずから散るように
しあわせになるために 誰もが生まれてきたんだよ
悲しみの花の後からは 喜びの実が実るように
誰もが、幸せになるために生まれてきています。何より子どもたちが「幸せ」を感じられるように私たち大人が頑張らなければと思います。