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【1月29日】“奇跡”を起こす力

公開日
2025/01/29
更新日
2025/01/29

校長のひとりごと

 今朝の西日本新聞のコラム『春秋』からです。


 春先に吹く強い南風、春一番の語源は、玄界灘に浮かぶ長崎の壱岐島にあるとされる。江戸時代に強風で漁船が転覆する大事故があって以来、漁師は春一番と呼び警戒したそうだ。気象用語となった言葉の印象を変えたのはご存じキャンディーズのヒット曲。♫もうすぐ春ですね、と前向きで温かいイメージが定着した。

 島育ちの選手たちは、春の甲子園にどんな風を吹かせてくれるだろう。「壱岐から甲子園へ」。島ぐるみの合言葉が現実になった。春のセンバツ、21世紀枠で創立115年の壱岐校が選ばれた。選手21人とマネージャー4人は全員島育ち。強豪私立から誘われた選手もいたが、地元の公立で甲子園を目指そうと集結した。グラウンドは四つの部活で共有し、思い切りバットを振るのもままならない。平日の練習は2時間ほどだ。年20回の九州本土への遠征は片道2時間のフェリーとバスを乗り継ぐ。長い移動、かさばる費用。離島ゆえの困難を家族や地域が支えてきた。

 「離島甲子園」も島の球児の背中を押した。元ロッテ投手、村田兆治さんが情熱を注いだ離島の中学生大会は2008年から続き、現チームの1年生は23年の大会を制した世代だ。壱岐市はふるさと納税を活用して旅費の支援を募っている。100年に1度の奇跡、と沸く島の人口は約2万4千人。試合当日は「島がからっぽになる」との声も。島を挙げて待ちわびる春である。


 大阪市で行われた発表のLIVE配信を、選手、監督、保護者や教員、後援会の人とともに見守りました。出場校選考員会の方の、「その結果選ばれた2校は…九州地区…」この瞬間、少し会場はどよめき、そして、「壱岐高校」と呼ばれると部員たちは席を立ち上がりガッツポーズをしたり抱き合ったりして喜びを爆発させました。保護者の方々の目には涙が…。長崎県勢初の21世紀枠での選抜選出、長崎離島勢で春・夏通じて初の甲子園出場の快挙を成し遂げたのです。その様子を動画で見ながら、なんだか私まで嬉しい気持ちになりました。

 練習場所も、時間も条件も非常に厳しい中で、毎日毎日ひたむきに練習に取り組み、秋の長崎県大会準優勝、九州大会ベスト8の結果を出し、今回の選出となりました。彼らは全体の練習後も自主トレをしたり、早朝にもそれぞれが課題意識をもってひたむきに練習に取り組んでいました。

 置かれた場所で、限られた条件の中であっても、目標を持ち、粘り強く努力し続けることが“奇跡”をも呼び起こすことに繋がるのだと改めて思います。壱岐高校野球部の皆さん、そして関係者の皆さん、本当におめでとうございます!