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【5月31日】逆境

公開日
2024/05/31
更新日
2024/05/31

校長のひとりごと

 今週火曜日の19時前、トイレに行こうと廊下を歩いていくと、その近くの保健室の電気がまだついており入口のドアが開いていました。ちょっとのぞいてみると、養護教諭の久保田朋子先生がおられました。
「遅くまで、どうされたのですか?」と声をかけると、
「明日からの心臓検診の準備をしていたところでした」
 とのこと。
「遅くまで準備していただいて、ありがとうございます!」
 と私が言うと、
「いえいえ…。それより昨日のひとりごと(5月27日「生きる」)、なんかジーンときました」
「ひとりごと読んでくれてるの?」
「はい。毎日ではないですけど…」
 それから、少しだけ、谷川俊太郎さんのことや“校長のひとりごと”のことなどを話しました。久保田先生から「校長先生のひとりごとは、けっこうジーンとくるものが多くて…。楽しみにしています」と言ってもらい、とても嬉しい気持ちになりました。
 そうやって、読んでくださる方がいる。そして、少しでも共感してくれたり、わずかではあっても学びに繋がっていたりすれば、これほどありがたいことはありません。これからも謙虚さと感謝を忘れず、少しずつ少しずつ頑張りたいと思います。久保田先生、ありがとうございますm(_ _)m

 さて、昨日紹介したデール・カーネギー氏の『道は開ける』に「逆境をバネにした人たち」というものが紹介されています。

 「もし病弱でなかったら、私は功績をあげることはできなかっただろう」と言った人物がいる。進化論を唱えた科学者チャールズ・ダーウィンである。「弱点が意外なかたちで助けてくれる」という法則を、彼は身をもって証明したのだ。
 ダーウィンがイギリスで生まれたのと同じ日にケンタッキー州の丸太小屋で一人の赤ん坊が生まれた。エブラハイム・リンカーンである。彼もまた、「弱点が意外なかたちで助けてくれる」という法則を実証した。
 実際、リンカーンには弱点がいくつもあった。もし彼が裕福な家庭に育ち、ハーバード大学法学部を卒業し、幸せな家庭生活を送っていたら、ゲティスバーグの演説で民衆に感銘を与えることも、就任式で「誰に対しても悪意を抱かず、誰に対しても慈悲のこころで接する」という、為政者として最も素晴らしい言葉を発することもなかっただろう。

 「弱点が意外なかたちで助けてくれる」と表現したのは、心理学者のウィリアム・ジェームズという人です。カーネギー氏は、ダーウィンやリンカーンだけでなく他の偉大な人のことも紹介しています。
 目が不自由だったイングランドの詩人、ジョン・ミルトンは優れた詩を残しました。また、耳が不自由だったベートーベンはあまりにも有名な作曲家です。目が見えず、耳が聞こえず、話せないヘレン・ケラーはサリバン先生との出会いによって「考える」ことを知り、障がいをもたされた方々の福祉に努めました。トルストイやドストエフスキーは恵まれない境遇であったから、「戦争と平和」「罪と罰」などの名作を生んだのではないか、と述べています。

 歴史上に名を残すような有名な方だけでなく、周りから見れば不遇な状況だと感じるような方であっても、それをバネにし、エネルギーにし、活躍されている方がたくさんいます。弱点や不自由な面があるからこそ、感覚が研ぎ澄まされ、誰にも負けない努力をされ、様々な分野で成功されている方がたくさんおられます。
 自分は不幸だとか恵まれていないとか言って行動しない、努力しないのではなく、どうしたらできるようになるか、どうしたら人の役に立てるか、どうしたら乗り越えられるかを考え、粘り強く努力しているからこそ、道が開けていくのだと思います。
 ついつい、「できない言い訳を探す私」を少し反省しなければと思います。